不二家「ルック」チョコ60年 ユニーク商品で市場開拓不二家「ルック(ア・ラ・モード)」(下)

「ルック」シリーズは派生商品が多い

4種類の味が楽しめる不二家のチョコレート「ルック(ア・ラ・モード)」。一目でそれがルックとわかるインパクトのあるロゴとパッケージデザインは、その後に登場してきた様々なフレーバーのルック製品でも踏襲され続け、ブランド力の強化に生かされてきた。この印象的なパッケージは、どうやって生み出されたのだろう。(前回記事「不二家「LOOK」チョコ、4種の理由 人気のトップは?」)

ルックが持つ商品としての魅力の1つに、黄色い箱に黒文字で「LOOK」と書かれたパッケージデザインがある。シンプルでありながら、目に残るデザインで、誰もがその商品を一目で認識できる。

デザインを手掛けたのは「インダストリアル(産業)デザイナーの草分け」として世界的に名高いレイモンド・ローウィだ。第1次世界大戦後の1919年に出身地のパリを離れて米国へ渡り、米メイシーズ百貨店で店舗装飾などを手掛けた。20年代半ばにデザイン事務所を開設。鉄道や航空機などの大型商品からタバコ、口紅といった日用品まで実に様々なデザインを手掛けた。

「不二家は1961年に社章であるFの文字に花をあしらった『ファミリーマーク』のデザインを、ローウィに依頼しました。その流れで、ルックのデザインも依頼したのではないかとみられています」。不二家の菓子事業本部営業本部の菊池祐一氏・商品企画部長はこう説明する。

「ローウィデザイン」の代表作に

ルックのデザインは、ローウィの代表作の1つとして今も語り継がれている。ローウィはほかに、ジョン・F・ケネディ元米大統領が搭乗した専用機「エアフォースワン」の外装や、米石油大手シェルのホタテ貝印のロゴマークを担当。たばこでは米ブリティッシュ・アメリカン・タバコ社の「ラッキーストライク」や、日本専売公社(現・日本たばこ産業)の「ピース」などがある。そのデザインの極意をローウィは「Most Advanced Yet Acceptable(最も先進的だが、ギリギリ受け入れられる)」と表現していたとされる。

発売当初のパッケージ

バナナ、アーモンド、ストロベリー、パイナップルと4種類の味が楽しめるのに加え、流行のファッションを意識してネーミングされたルックは、力強いロゴと黄色ベースのパッケージデザインで、時代の先端を歩むイメージをまとう製品となった。発売された62年当時の若者や子供の印象に強く残り、その後60年にわたって愛されてきたルックだが、やはり時代を重ねたことで「最近ではやや古くさいブランドイメージを持つ若者も増えている危惧が出てきました。実際に調査したら、数字でも裏付けられたのです」と、菊池氏は話す。

どんなロングセラー商品にも共通するのが、主要な購買層の年齢が高まっていき、若者に対して訴求できなくなる問題だ。菊池氏は「ルックも主要購買層が40~50代で、若年層へのアピールは弱いと感じていました」と述べ、2020年9月からは若い女性に人気の男性アイドルグループを起用して、若者に再注目してもらうキャンペーンを始めた。

「10年後、20年後にも『ルックを食べてうれしい、もらってうれしい』という若い世代を育てていかないと先細りになります。実際にキャンペーンを実施してからは10~20代の購買層の比率が高まってきました」と菊池氏は手応えを感じている。

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