民間企業から官公庁や国際NGO(非政府組織)、スポーツ団体へ──。それまでの職場と大きく異なる環境へ踏み出す「越境転職」を選ぶ人が、いま増えています。憧れの仕事をしたい。もっと社会に役立つ仕事をしたい。背景にある思いは様々です。本連載では、エン・ジャパンの転職支援サービス事業責任者である近藤幸二郎さんを聞き手に「越境転職者」たちのリアルに迫ります。
第1回は、2016年に開幕したプロバスケットボールリーグ「B.LEAGUE(以下、Bリーグ)」の国際事業担当として活躍する山本亜友美さんにインタビュー。高校生の頃から憧れだった仕事への転職のきっかけから、入社後の本音まで語ってもらいました。
偶然出合った求人に思いが再燃
──バスケに関わる仕事は、学生時代からの夢だったと聞きました。Bリーグの求人を見つけたときはどんな気持ちでしたか。
「見つけたときは、正直驚きました。転職活動をしていたわけではなく、たまたま転職サイトを見たタイミングでした。『やりたかったバスケットの仕事がある』と、思わず求人を読み込んだことを覚えています」
「実は学生時代は、『NBA(米プロバスケットボール)に関わる仕事をしたい』という一心で外国語大学に入学し、米国に留学していました。ただ、向こうでスポーツビジネスを学んだものの、NBAで働くには実力が足りず、志半ばで帰国した経験があります。それから10年以上がたち、そんな気持ちも忘れかけていた頃だったのですが、求人を見たことをきっかけに『バスケに関わる仕事』への思いが再燃しました」
「とくに『バスケで日本を元気に』というBリーグのメッセージを見たときに、自分の仕事が何につながっているのかがはっきりわかる──そう思えたのは当時の私にとって大きかったです。その点に関しては、前職で少しモヤモヤしていた部分がありました」
──モヤモヤしていた部分というのは?
「当時は、半導体関連の測定機器メーカーで海外営業を担当していました。半導体市場は非常にダイナミックで面白かったものの、1プレーヤーとして仕事をするにあたり、市場のスケールが大きすぎると感じていました。一般消費者向けの製品を扱う仕事などに比べると、『自分がこの仕事をすることで、何にどう貢献しているのか?』がやや実感しにくい環境だったと思います」