リモートMRが開く 医薬品営業のイノベーションHDCアトラスクリニック院長 鈴木吉彦

リモートMRが広がれば対面営業の慣習も大きく変わっていくかもしれない(写真はイメージ=PIXTA)
DX(デジタルトランスフォーメーション)の時代、医療はどう変わっていくのか。生活習慣病の代表格ともされる糖尿病の専門医で、1990年代後半~2000年にかけて医療情報ポータルサイト(MediPro/MyMedipro)を立ち上げるなど、デジタル領域についても豊富な知見を持つ鈴木吉彦医師(HDCアトラスクリニック院長)に医療とデジタルの新時代について語ってもらいます。 

父は医学部を卒業しましたが、戦時中、商業高校にいました。そのためか「商い(ビジネス)」についても私に多くを話してくれました。父の話に沿って今制作を進めている「リモートMR」を解説してみましょう。

1.サービスについて理解し自分の言葉で提案できる

医師も製薬企業のMR(医薬情報担当者)も薬の知識に精通し理解し自分の言葉で提案し説明することが重要です。私が本をたくさん出版した理由も、自分の言葉で患者に「こういう治療はどうでしょう」と提案していたのでした。80冊以上の書籍を出版しベストセラーを何冊も出せたのも、その恩恵です。

今はSNS(交流サイト)やホームページ(HP)を駆使し、誰もが情報発信を行えます。患者はサイト内の情報をしっかりと読み、そこから「予約」すれば、意思疎通はスムーズで治療は成功しやすいはず。私たちの「オンライン診療」の仕組みは、それを可能にします。「リモートMR」も同じです。

2.「ベネフィット」を説明する

医師が患者に説明するとき、薬の成分や名前、作用機序、特徴だけを長々と説明していたら、患者は離れるでしょう。患者は、その薬が自分にとって、どういうベネフィットがあり、どう効くのか、他の薬とどう違い、なぜその薬でなくてはいけないのか、症状がどう治るのかを説明してほしい、と先に思うはずです。

現状日本では、MRの発言に自主規制をかけています。MRが単独で自社商品に精通しサービスを理解し自分の言葉で説明できなくなっています。他社製品と自社製品の差異を述べ、何故、自社製品が優れているのかを説明できるMRが激減しました。

本来、製薬企業の営業は、「こういう病気には、この薬を使えば、こういう問題を解決します。だから、従来の薬にはない優れた特徴を持っているのです。他社の薬とは、こういう点に違いがあるのです」「薬の作用機序から、どんな問題が解決できるのか。競合する他剤とは、患者がうけるベネフィットは、どう違うのか」を、一貫して話をしてくれるMRが必要なはずです。そうした内容を説明してくれるMRは減りました。日本の製薬企業が世界から後退しているのは既得権益をもつ一部の会社が過剰な「規制」を要求しているためでしょう。