とはいえ、より包括的な法律が議会を通ったのは今回が初めてだ。新法が成立した大きな要因は、市民が提案するより厳しいプラスチック規制法案が11月の住民投票にかけられないようにプラスチック業界が妥協に応じたからだ。

全員が文句なしの法律ではない

関係者全員が今回の結果に満足しているわけではない。妥協案の作成に協力した業界団体の米化学工業協会(ACC)は、新法を称賛するものの、その声は小さい。ACCのプラスチック部門担当副会長を務めるジョシュア・バカ氏は声明で、新法は「カリフォルニア州を循環型経済に向かわせるのに最適な法律ではない」と述べた一方、今後も州議会議員と協力し、いくつかの条項の改善に努めると約束した。

米環境保護局(EPA)の元地方行政官で環境活動家団体ビヨンド・プラスチックスの創設者であるジュディス・エンク氏は、新法で発泡スチロールが禁止されなかったことと、プラスチック製品の生産者が目標値の達成を回避できる抜け穴があることを批判した。「ほとぼりが冷めた時、後悔も残るでしょう」と氏は言う。「『ないよりはまし』は決して賢い戦略ではありません」

エンク氏はまた、EPRを監督するのはカリフォルニア州資源循環回収局であるものの、実際の手続きや料金回収を業界に託したのは間違いだと批判している。「化石燃料業界に温暖化ガスの削減を任せる環境保護政策の立案者はいません。なぜ包装材業界に包装材の削減を任せるのでしょうか?」と氏は問いかける。

米サンフランシスコに拠点を置くリサイクル会社リコロジーは、市民が提案する厳格なプラスチック規制法案が住民投票にかけられるよう資金を提供してきた。同社は、新法のEPR条項とプラスチック包装削減規定を評価しているものの、声明の中で、さらなる法律と資金が必要だと指摘している。

「リサイクル会社としてリコロジーにできることはすべて取り組んでいます。しかし、プラスチック製品メーカーや包装材メーカーはあまりにも製品を多種多量に作りすぎています」と声明は続く。

米西海岸3州の約150の自治体でリサイクル事業と生ごみ堆肥化事業を手がけるリコロジーは消費者にこう助言する。「買い物をするときにプラスチックを避けるようにすれば、メーカーや包装材会社に対するメッセージになります。消費者が買わなければ、彼らも作りません」

結局、カリフォルニア州の新法が際立っているのは、「プラスチックの生産量を減らすことを求めている点だ」とオーシャン・コンサーバンシーの首席科学者ジョージ・レナード氏は言う。

「今回の新法は、プラスチックの生産量の増加が環境の変動の要因になっているという問題の核心を突きます。これですべてが解決するかと言えば、答えはノーです。しかし、これまでに登場したどの方法よりも現実的に上昇カーブを抑えられる方法です」

(文 LAURA PARKER、訳 三好由美子、日経ナショナル ジオグラフィック)

[ナショナル ジオグラフィック 日本版サイト 2022年7月11日付]