飛行機を使った「超速鮮魚」が羽田市場の原点

「羽田市場食堂」池袋サンシャイン60通り店

「羽田市場食堂」を経営するのは、羽田市場(東京・大田)という企業。創業者は野本良平氏だ。野本氏は、複数の企業を経験し、新興系居酒屋企業であるエー・ピーカンパニー(AP、東京・豊島)で副社長を務め、鮮魚類の仕入れで辣腕をふるった。野本氏は、以前から付き合いのあった全国の漁協とのネットワークを広げ、彼らから市場を通さない直接取引のルートを作った。それがAPの強みとなったのだ。

APから独立した後、野本氏は会社を立ち上げ、産地から直接鮮魚を仕入れるビジネスを開始。野本氏が優れていたのは、航空会社と連携し、航空会社が飛行場に持つ施設を借り受けて、朝イチであがった鮮魚をその施設で加工、それを飛行機に乗せ、夜には飲食店で提供するという「超速鮮魚」という仕組みを作ったことだ。この事業に賛同する企業は多く、居酒屋「はなの舞」を展開する居酒屋大手のチムニーも参加していた。

運賃負担が大きいことで、このビジネスは大きくはならなかったが、その後野本氏は、付加価値を付けるために飲食事業に注力する。その大成功例が、東京駅に併設する「海鮮居酒屋羽田市場」グランスタ東京店だ。激安のすしと刺し身が売りで、多くのメディアも取り上げた。同じようにグランスタ内に、回転すし店も開店し、東京駅でのプレゼンスを上げた。その流れの先にあるのが「羽田市場食堂」池袋サンシャイン60通り店というわけだ。

「羽田市場食堂」池袋サンシャイン60通り店の店内の様子

天ぷら業態は実は難しい。様々な企業がチャレンジしているが、ある程度成功しているのは30年前に創業し、現在はロイヤルホールディングス傘下にある「てんや」くらいだ。単純に、それほどみんな天ぷらや天丼を食べないということともいえる。「てんや」は200店規模でしかない。

低価格でファストフード的に提供する市場は、それほど大きくないが、ややアッパーな使い方をする店は人気だ。東京・日本橋で行列を作った「金子半之助」が著名だが、高価格帯を目指せばビジネスの展開も可能性が広がる。

女性客がこぞってスマートフォンのカメラを向ける「羽田市場天丼」

ただ、どうビジネスを展開するかというより、おいしい天ぷらや天丼を出してもらえる店であれば、十分にOK。魚というと、「まずは刺し身で」という方が多いのだが、当方火を通した魚介が好みで、少し単価が高くても天丼にしてくれた方がうれしい。なんでかというと、天つゆにくぐらせて、ピカピカの白飯にオンするのが好きなのだ。天丼は天丼で魅力だけど。

そう考えると、神田を中心に展開していた天ぷら店の「いもや」がほぼ絶滅しかけているのが悲しい。

(フードリンクニュース編集長 遠山敏之)

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