グラットン氏が説く働き方の未来 年齢差別はやめようロンドンビジネススクール教授 リンダ・グラットン氏(上)

2022/3/26
ロンドンビジネススクール教授 リンダ・グラットン氏 ©London Business School

2012年の『ワーク・シフト』、16年の『LIFE SHIFT』と、働き方と生き方の未来図を示し、そこへ向けた戦略を提言してきたリンダ・グラットン・ロンドンビジネススクール教授。21年には、さらにその続編となる『LIFE SHIFT2』で人生100年時代の行動戦略を描き出してみせた。そこから日本の今を生きる我々は何をくみ取り、行動していくべきか、作家でコンサルタントの佐藤智恵氏がインタビューした。

日本の働き方の大胆な変革の好機

佐藤 人生100年時代の生き方と働き方を指南する『LIFE SHIFT2』が日本で大反響を呼んでいます。新型コロナウイルスの感染拡大という未曽有の事態は、日本人の働き方にどのような影響を与えていると思いますか。

グラットン このパンデミック(世界的流行)は日本の人々が未来の働き方について議論する絶好の機会になっていると思います。

『LIFE SHIFT2』 アンドリュー・スコット、リンダ・グラットン著 池村千秋訳(東洋経済新報社)

私はこれまでロンドンビジネススクールの日本人学生や日本企業の役員・社員の方々と「日本人の働き方」について意見交換をしてきましたが、誰もが現状に不満を持っていたのが印象的でした。長時間労働を強いられ、過労による自殺が多く、女性が子育てと仕事を両立するのも難しく、通勤時間も長い。多くの日本の人たちが、こんな働き方は間違っている、これからは新しい働き方を模索しなくてはならないと感じていました。

そうはいっても長年の慣習を変えるのは容易ではなく、日本企業も日本政府も「働き方改革」については議論するにとどまっていました。大胆に変革するところまでは踏み切れていなかったのです。

そこにパンデミックが起こりました。企業も政府もいや応なく働き方を変えざるを得ない状況に追い込まれました。つまり変化を起こす絶好の機会が到来したのです。

実際に変えてみると、毎日、会社に通勤しなくても、長時間働かなくても、効率的かつ生産的に働けることが明白になりました。日本の皆さんからはもう以前の働き方には戻りたくないという強い意志が感じられます。そういう意味でこのパンデミックは日本に新しい時代を築くチャンスをもたらしているのです。

次のページ
日本の若者にヒントを与えたい