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居住地にとらわれずに働ける環境を整えることは、採用力を高めるうえで効果的です(写真はイメージ)=PIXTA

居住地にとらわれずに働ける環境を整えることは、採用力を高めるうえで効果的です(写真はイメージ)=PIXTA

日経クロステック
キャリアアップや人間関係構築、給与などの待遇面、転職や起業――。技術者の多くは、自分の働き方について様々な悩みや不安を抱えています。人事コンサルタントとして様々な企業の職場活性化を支援する天笠淳さんが、こうした不安を解消し、働く楽しみを見いだすための具体的な方法を紹介します。

ヤフーが働き方改革を進めています。日本経済新聞が2022年8月29日に配信した「ヤフー、130人超が飛行機・新幹線通勤に 働き方改革で」によれば、22年4月に新制度を導入。住む場所を自由に選択でき、飛行機による通勤も認めています。

この制度を使って遠隔地に転居した社員は130人を超えるといいます。人気は九州、北海道、沖縄。これだけ聞くと「交通費で赤字になるのでは」と思ってしまいますが、交通費の支給額は1日あたりの上限をなくし、月に15万円までに変更したそうです。

筆者が特に気になったのは、「中途採用の応募が増えた」という点。この制度の実施前と比べて、応募者数が6割増加したといいます。

オンライン化で応募者の幅が広がる

ヤフーのような制度を導入している会社は、国内ではまだごく少数でしょう。筆者のクライアントでは「テレワークの導入は無理、取り組む必要もない」という企業が多くあります。製造、建設といった業界の企業が多く、取り組みたくても現実的ではないという事情もあります。

ただしそんな企業にも、筆者は「営業や管理系など、リモートでもできる業務についてはテレワークを部分的に加速してほしい」とお願いしています。その理由が、採用力の強化です。

中途採用応募者数が6割増加というヤフーの事例が示す通り、居住地にとらわれずに働ける環境を整えることは、採用力を高めるうえで効果的です。「本社に遠いから」「転居を伴うから」といった理由で応募自体を諦めていた人も、応募してくれる可能性があります。

面接をオンライン化するだけでも意味はあります。例えば、地方在住で地方の企業に勤務している人が東京の採用面接に臨む場合。1時間の面接のために、数時間に及ぶ移動時間と交通費が必要になるのはかなりの負担です。

多くの場合面接は1度では終わらないので、2~3回の移動が発生します。勤務地が首都圏近郊であっても大変です。有給休暇を何度も取得する必要があり、勤務先からは「転職活動でもしているのでは」と勘繰られるリスクもあります。こうした活動を5社、10社に対して実施しなくてはならないとなると、転職自体を諦める人も少なくないでしょう。

面接がオンラインになれば、移動時間や費用がほぼかからなくなります。働く人にとっては、転職を通じたキャリア選択の幅が大幅に広がったといえます。

学生にも同じことがいえます。以前はアルバイトや授業を休み、新卒採用のイベントや面接会場に足を運ぶのが基本でした。それだけの時間と費用をかけなければ、就職のチャンスをつかむことが難しいという側面があったのです。学生の負担軽減のため、大学のキャリアセンターなどが学内企業説明会や卒業生との懇親会を実施していましたが、そうした場で出合える企業は限られていました。

それが会社説明会や面接がオンラインになり、学生が得られる情報量は一気に増えました。情報が多すぎるという声もありますが、そうした場合はキャリアセンターなどに相談すれば絞ってもらえます。チャンスは限りなく多いほうが良いと筆者は考えています。

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