
では、実際に店内を歩いてみよう。同店は2つのレストランとバール、カフェ、イタリア食材を購入できるショップと5つのエリアに分かれている。
まず入り口を入って右側が、前菜からパスタ、ピザ、メインまでイータリーのスタンダードメニューが食べられるレストランの「LA PASTA e LA PIZZA(ラ・パスタ・エ・ラ・ピッツァ)」。自家製パスタの工房を備え、店内で提供するパスタとピザの生地は、ここで手打ちしたものだ。
外からも雰囲気が見え、開放的で入りやすい。銀座の洗練された店ではあるが、子連れのファミリー客などイタリアンの初心者も多く利用している。店長の桑村和也さんによれば、「テレワークが増えたせいか、平日のランチ時に『お父様とお子さん』という銀座では見かけなかったお客様も増えてきたんですよ」とのこと。
その奥にあるのが2つめのレストラン、「LA GRIGLIA(ラ・グリーリア)」だ。肉や季節の魚、野菜をじか火で焼いたシンプルなグリル料理を提供する。素材のうま味を引き出す本格的なグリラーを厨房に完備しているのと、銀座の街を高層階から一望できる広いテラス席があるのが自慢だ。
ここの人気メニュー「海の幸のキタッラ」を試食した。前述のパスタ工房で作った自家製麺をたっぷりの魚介とからめた、オイルベースのパスタだ。生パスタはもちっとしており、コシと弾力が強い。ほかのイタリア料理店で経験したことがない、独特のうまさだ。屋外のテラスも今の季節はなかなか気持ちよい。風に吹かれながら本格的なイタリア料理をワインと堪能すれば、銀座でちょっとしたバカンス気分が味わえるだろう。

今度は店の中央へ。そこには、バールの「LA PIAZZETTA(ラ・ピアツェッタ)」がある。イタリアの「バール」とは、日本でいう、いわゆる酒をメインに出すバーとは異なる。朝から夜まで営業し、客は出勤前に立ち寄ってエスプレッソを飲んだり、午後にひと休みしたり、夕食前は酒と小皿料理で軽く乾杯したりする。イタリア人が1日のいろいろな場面で英気を養う場所だ。
銀座店のバールは“友人や家族でワインやアンティパスト(前菜)を楽しむ、イタリアの陽気な街の広場(=PIAZZETTA)”がコンセプトで、バール文化を東京で再現したそうだ。軽く飲む客はもちろん、同じフロアにある蔦屋書店で本を買って、ワインを飲みながら読書にふける一人客などもいて、自由に活用されているとのこと。

店の入り口に戻ろう。左手には飲み物と一緒にジェラートや、イタリアの伝統的ドルチェ(デザート)を楽しめる「Gran Caffe Vergnano 1882(グラン・カフェ・ヴェルニャーノ)」がある。午前中の取材だったのだが、女性の2人連れやグループ客がここで朝から優雅にカフェタイムを楽しんでいた。
ここでは話題のイタリア菓子「マリトッツォ」も販売している。昨今のマリトッツォブームは、イータリーが発祥だったのをご存じだろうか。イータリー原宿店でイチゴを飾ったマリトッツォを販売し、男性アイドルグループがテレビで取り上げてからブレイクしたのだ。