
御徒町「老酒舗」 発酵白菜のベストシーズン真冬を楽しんで
「冬はマイナス30度以下になることもあるので、昔は12月から4月は新鮮な野菜が食べられませんでした。10月、11月の白菜の収穫期に1年分を仕込んでおいて、ほかの干し野菜と一緒に食べるんです。今はいつでも漬けられるようになりましたが、夏は発酵が早く、冬はゆっくり進むので、味はちょっと違う。ゆっくりのほうがまろやかな味がして、味に厚みがあります」
1年中作れるようになった今も、発酵白菜のベストシーズンは真冬なのだ。店では発酵白菜を自家製していて、オンラインショップでも販売している。
さて、気になる料理のほうだが、炒めものは、春雨が発酵白菜のおだやかな酸味と豚肉のうま味をたっぷり吸い込んで、とてもジューシー。発酵白菜は漬ける人によっては特有のクセが香りに出てしまう場合もあるようだが、「老酒舗」の発酵白菜にはいやなクセがまったくない。お酒に合うことは言うまでもないが、ご飯にのせれば飲んだあとのシメにもよさそうだ。それくらいさっぱりとした食後感がある。
煮込みのほうも、材料は炒めものとほとんど同じで、たっぷりスープが入るところだけが違う。体が温まり、スープに溶け出した発酵白菜の滋養を飲み干せば、腸活は万全だろう。

発酵白菜は水ギョーザのあんにも混ぜる。中国では万頭やお焼きの具にもよく加えるそうだ。こちらも豚肉のあんにおだやかな発酵の香りが加わって飽きさせない。
味坊グループは羊料理でも有名だが、発酵白菜には豚肉のほうが相性がよいそうで、店で提供している3品はすべて、豚肉と組み合わせたメニューになっている。またグループ内の他の店舗で発酵白菜を使ったメニューがあるのは同じ御徒町の「羊香(ヤンシャン)味坊」と神田の「味坊」、湯島「味坊鉄鍋荘」で、三軒茶屋「香辣里(シャンラーリー)」と2021年9月、代々木八幡にオープンした「宝味八萬(ホウミハチマン)」には置いていないのでご注意を。
