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写真はイメージ(PIXTA)

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「人的資本に関する開示情報は、転職希望者にも役立ちます」。そう話すのは、組織開発や人的資本経営の領域を中心に人事制度構築などを支援する、リクルートマネジメントソリューションズの白井邦博さん。2023年3月期決算から上場企業などを対象に開示が義務化された人的資本の開示情報は、転職先を選ぶヒントになり、入社後のミスマッチを減らすことにもつながるといいます。開示情報をどのように活用したらいいのか、見るべきポイントや注意点などについて解説してもらいました。

開示項目に会社のスタンスが表れる

――人的資本の情報開示とは何ですか。

「金融庁は23年3月期決算から上場企業などを対象に『人的資本』に関する情報を有価証券報告書(有報)で開示することを義務化しました。人的資本とは人材や人材が持つ知識・意欲などを指し、働く人をコストではなく価値を生み出す資本として捉えることです」

「企業価値の源泉が財務資産から非財務資産へと移行しており、投資判断において非財務情報の評価が大きく影響するようになってきたことが背景にあります。非財務領域の筆頭である人材への投資は事業成長に直結するため、人的資本の情報開示は世界的な潮流になっています」

――どのような情報が開示されるのですか。

「『女性管理職比率』『男性の育児休業取得率』『男女間賃金格差』は有報に載せることになっていますが、それ以外は人材の多様性や育成方針、社内環境の整備などに関する戦略・指標・目標を記載するとなっています。具体的な項目名が挙げられているわけではなく、どのような項目を載せるのかに企業のスタンス(特徴)が出そうです」

「ただ、この自由記述が人事担当者にとっての悩みになっており、当社には22年の後半から『どのような項目を載せたらいいのか?』といった相談が増えています。開示情報が公表されるのは23年5、6月ごろからなので『正解』は分かりませんが、内閣官房が発表している『人的資本可視化指針』がベースになると考えています」

「同指針では開示が奨励される人的資本として、次の7分類が挙げられています。①育成(研修時間や費用など)②従業員エンゲージメント(会社への帰属意識)③流動性(離職率、定着率、人材確保・定着の取り組みなど)④ダイバーシティー(属性別の従業員・経営層の比率、育児休業等の後の復職率・定着率など)⑤健康・安全(労働災害の発生件数など)⑥労働慣行(差別事例の件数・対応措置など)⑦コンプライアンスです」

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