2019年、金融庁のワーキンググループが「老後の30年で約2千万円が不足する」という試算を出し話題になった。年金などの収入から支出を引くと、毎月約5万5千円の赤字になるという数字に基づく。これはあくまでも夫婦が2人で暮らす場合の平均的なケースだが、自営業者等が受け取る国民年金の場合、受給額が厚生年金の半分以下となり、さらに不足する。
この状況は女性にとってはかなり厳しい。女性が受け取れる公的年金の平均は、特に厚生年金では男性よりだいぶ少ない。投資信託協会の報告書によると、60代の女性で保有金融資産1千万円未満なのは未婚で約6割、既婚で5割近くに上る。年金や貯蓄だけでは老後の資金は賄えない。
現在、50歳の女性の3割は配偶者がいないことや、女性の平均寿命が男性より長いことを考えると、女性自身が老後に備えて資金を蓄えることが重要だ。しかし、女性はキャリアを通じて男性よりも給与の上昇が鈍く、特に40代以降は給与がほとんど上昇しない。
給与のほか、既婚女性は低所得の方が当面有利になる税制・社会保障制度の実態を改善することが急務だが、同時に女性が資産運用で収入をアップすることが大きな解決策となる。
