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歩数は1800歩増、歩行時間は40分増、体重は減少

最も多くのメタ分析(32件)が報告していたのは、運動量への影響でした。それらは、活動量計が運動量を有意に増やすことを示していました。活動量計を使用しなかった人と比較すると、使用者では、1日あたりの歩数は約1800歩増えていました。歩行時間は約40分増えており、中強度から高強度の運動の時間も6分増えていました。

生理的な影響のなかで最も強力な効果が見られたのが体重で、9件のうちの6件で0.5kgから1.5kg減少という緩やかな変化が報告されていました。また、運動中の最大酸素摂取量を調べていた3件の研究のうちの2件が、活動量計を使用していた人々において、最大酸素摂取量の有意な上昇を示していました。さらに、収縮期血圧(上の血圧)に対する効果を評価していた5件のうちの3件は、2~4mmHgの有意な低下を報告していました。一方で、拡張期血圧(下の血圧)、中性脂肪、HbA1c、空腹時血糖などには、有意差は見られませんでした。

心理的な変化について報告していた研究は4件ありましたが、活動量計の使用が心理面に及ぼした変化は一般に小さく、多くの場合、有意差は見られませんでした。

効果の持続期間を報告していたメタ分析は3件ありました。効果が持続していたのは歩数の増加で、4~6カ月後まで多い状態が維持されていました。効果は徐々に小さくなりましたが、最大で4年後まで増加は有意でした。

得られた結果をまとめると、活動量計は、性別や持病の有無に関わりなく、さまざまな年齢の人たちの運動量を増やし、体重を減らすために有効であることが示されました。効果は半年以上にわたって持続しており、健康に好ましい影響を与えられるレベルだと判断されました。また、収縮期血圧を下げる効果についても強力なエビデンスが得られました。血圧の低下は糖尿病などの疾患の患者において統計学的に有意でした。

著者らは、「これらの結果は、活動量計の使用推奨を支持するものだ」と述べています。

[日経Gooday2022年11月7日付記事を再構成]

大西淳子
医学ジャーナリスト。筑波大学(第二学群・生物学類・医生物学専攻)卒、同大学大学院博士課程(生物科学研究科・生物物理化学専攻)修了。理学博士。公益財団法人エイズ予防財団のリサーチ・レジデントを経てフリーライター、現在に至る。研究者や医療従事者向けの専門的な記事から、科学や健康に関する一般向けの読み物まで、幅広く執筆。

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