2022/9/29

「適任の女性がいない」は本当だろうか。登壇者が男性ばかりのイベントは身近なコミュニティーでしか声をかけていない、という側面があるような気がしてならない。幅広く探せば見つかるはずだ。今は女性登壇者リストを掲載するサイトもある。大事なのは主催者がマネルの問題に気付き、女性人材の発掘に手を尽くすことだ。

日本でもここ1年ほどで問題意識が高まってきたと感じる。起業関係者が注目する経済産業省の「Jスタートアップ」は支援企業を推薦する委員がほとんど男性だった。昨年、内部から「女性の推薦委員を増やさなければならない」という声があがり、女性が9人増えて103人中14人になった。新規委員はゴールドマン・サックス証券出身のキャシー・松井さんら納得の顔ぶれだ。

政府が21年秋に立ち上げた「新しい資本主義実現会議」では有識者15人中7人とほぼ半数が女性だった。繰り返すが、探せば適任の女性はいるはずだ。女性の発言の機会を増やすことは本質的な議論に欠かせない。この認識を社会の隅々に根付かせたい。

スプツニ子!
アーティスト、株式会社Cradle代表取締役社長。インペリアル・カレッジ・ロンドン数学科、情報工学科を卒業後、英国王立芸術学院デザイン・インタラクションズ専攻修士課程修了。テクノロジーによって変化していく人間の在り方や社会を反映した映像インスタレーション作品を制作。2013年マサチューセッツ工科大学(MIT) メディアラボ助教に就任。その後、東京大学大学院特任准教授を経て、19年から東京芸術大学デザイン科准教授。https://cradle.care/

[日本経済新聞朝刊2022年9月19日付]