「和装男子」の手本、藤井聡太氏 羽織の色にも物語コラムニスト いであつし

第72期王将戦の第1局を制し感想戦で対局を振り返る藤井聡太王将(1月9日、静岡県掛川市)

2023年1月9日は成人年齢が18歳に引き下げられて初めての成人の日だった。この日、多くの若者たちがスーツデビューを果たしたんじゃなかろうか。著名人にも成人を迎えた人が多い。棋士の藤井聡太氏もその1人だ。




藤井氏はやはりスーツより和装がよく似合う。くしくも9日に行われた第72期王将戦7番勝負第1局では将棋界のレジェンド、羽生善治九段を下して白星スタートとなった藤井王将。この時も羽織袴(はかま)の和装できりりと決めていた。

和装スタイルに貫禄がついてきた

若くして竜王、王位、叡王、王将、棋聖と5つのタイトルを保持し、和装での対局も板についてきた藤井氏。普段は今どきの若者らしくポーターのバッグを愛用しているらしいが、デビュー戦は学生服だった藤井氏もすっかり貫禄が出てきた。

第72期王将戦7番勝負第1局を終え、感想戦で対局を振り返る藤井王将(右)と羽生九段

筆者は将棋に関しては門外漢だが、例えば名古屋の能楽堂で行われた王位戦での藤井氏の写真を見ると、黒と白とグレーのモノトーン3色でまとめた羽織袴で、手には黒とからし色の切り替え生地によるおしゃれなバイカラー使いの巾着。なかなかシックな和装スタイルである。

何でも能楽堂は神聖な場所なので、舞台に上がる時には白い足袋が必須らしい。この時の和装スタイルは能楽堂に敬意を払い、白足袋に合わせた配色でセレクトしたのだそうだ。袴は礼装にも用いられる「仙台平(せんだいひら)」という縞柄が入った袴で、羽織は初めて和装で対局した時に師匠の杉本昌隆八段からプレゼントされたもの。ちゃんと一つ一つのアイテムにもバックストーリーがあるのが和装スタイルならである。

初の防衛戦となった千葉県木更津で行われた棋聖戦ではシックな和装スタイルと打って変わり、袖の先にかけてブルーのグラデーションになっている「ぼかし染め」を施した藍色の羽織に薄いグレーの袴で黒い足袋という若々しい和装スタイルで挑んでいる。

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筋トレ効果で姿勢も良く