約60職種すべてに等級ごとに必要スキルを明示

――LIFULL大学での学びは、業務時間内に含まれているのでしょうか。

村川:必須プログラムと選抜プログラムは業務時間内。選択プログラムは自主的なゼミなので業務時間外となります。ただし、ゼミ長が授業の準備をしたりするのは業務時間内。専門書を買うとか教材の準備に必要な費用も会社が負担します。

――会社全体としての人材育成計画や、社員に身につけてほしいスキルの定義はどのように決めているのですか。

羽田:基本的には中期経営計画の実現に向けて、どのあたりの等級・経験を持つ社員が足りないのかを年度ごとに確認し、育成・採用しています。以前はかなり精緻に「何人」という数字を出していたのですが、7~8年くらい前にそれはやめました。というのも、当社の場合、年間100〜150件もの新規事業提案があり、事業が立ち上がるスピードも早いので、あまり精緻に人員計画を立ててもそのスピードに対応できないというのがわかったからです。今は大きな方向性はありつつも、変化に応じて柔軟に変えています。

スキルに関しては、社内の約60職種すべてについて等級ごとにどういうスキルが必要か定義しています。ただ、「○○力」と細かく分類して、それを全部クリアできるようにするといった考え方ではなく、「こういう規模のプロジェクトを完遂できるレベル」という風にある程度ざっくりした定義に変えました。社員がイメージしやすいように、過去のプロジェクトを例示したりしています。

例えば営業の場合、同じように高い目標を達成していたとしても、関係構築力に強みがある人もいれば、ロジカルな提案力に強みがある人もいるわけです。どのスキルに強みがあるかは個性であって、会社としては結果として成果を上げてくれればいいわけですから。

――つまりスキルに関しては、細かく決めるよりも抽象度を上げていると。

羽田:そうです。やはり当社の場合、社員の内発的動機付けという考え方がベースにあるので、会社主導ではなく、1人ひとりの社員が起点となって、自分の特徴を活かしながらスキルを伸ばし、成果を上げていってもらうのが基本。LIFULL大学はそれをサポートする場として位置付けています。

自ら学びたいと思える風土づくりや、学びと仕事のリンクについて聞いた後編『「標準のキャリアパスはない」 社員は学んで自立する』はこちら。

(聞き手 ライター・石臥薫子)