ファイナンス・資本政策にも言及

全体は4章構成。まず第1章で「起業家になるべき5つの理由」を語り、第2章では、起業を妨げている「起業にまつわる5つの誤解」を解いて、今はまさに起業家が求められている時代であることを示す。後半の2章では具体的に起業家になるにはどんなキャリアコースがあるのか、さらに実際起業家として一歩を踏み出すためには、どんなステップを踏むといいかを要点を絞って解説していく。

独立起業か企業内起業か。上場を目指すか否か。個人で働くか組織で働くか。こんな簡単な3つの質問で自分に合った起業型キャリアが診断できるなど、具体的なアドバイスが豊富で、経済メディアでの取材で拾い上げた多彩な起業家の印象的な言葉もたくさん収録されている。企業を成功させるステップも自己分析から始まり、パートナー、チームづくり、ファイナンス・資本政策まで踏み込んで語る。「ほんのさわり」といいながら、起業しようか迷っている人が引っかかりそうな疑問に著者なりの答えを示す内容になっている。

「突出して売れるという感じではないが、10月末の発売以来つねにベスト20以内に入っている。大企業も多いこの地区でも、起業に関心も持つ人は思いのほか多いようだ」と同書店でビジネス書を担当する川原敏治さんは話す。

4位に22年の経済予測本

それでは今週のベスト5を見ていこう。

(1)ブロックチェーンでできる30のこと瀧沢龍哉著(幻冬舎)
(2)労働行政対応の法律実務[第2版]石嵜信憲編著(中央経済社)
(3)LIFE SHIFT2A・スコット、L・グラットン著(東洋経済新報社)
(4)2022年 日本はこうなる三菱UFJリサーチ&コンサルティング編(東洋経済新報社)
(5)稲盛和夫一日一言稲盛和夫著(致知出版社)

(八重洲ブックセンター本店、2021年11月8~14日)

1位はブロックチェーンについての解説書。2位には働き方改革関連法などの行政指導に対応する実務を解説した実務書が入った。3位は本欄の記事「『ライフ・シフト』に続編 人生100年時代の行動説く」で紹介した『ライフ・シフト』の続編。4位は毎年この時期に出る銀行系シンクタンクによる経済予測本の最新版だ。5位には、京セラ創業者の稲盛和夫氏の言葉を集めた名言集が入った。紹介した『起業のすすめ』は14位だった。

(水柿武志)

起業のすすめ さよなら、サラリーマン

著者 : 佐々木 紀彦
出版 : 文藝春秋
価格 : 1,650 円(税込み)