エクセルの印刷イライラ解消法 大きな表や大量データ
Excel編(5)きれいに印刷しよう
仕事に効くWord/Excelのツボ
今回はExcelの印刷の話です。
Wordを新規で開くとA4縦で余白が設定された状態で表示されます。そのため、いま入力しているデータが用紙のどこに印刷されるのかがすぐわかります。ところがExcelのワークシートは、余白も見えなければA4のどの位置に表があるのかもわかりません。印刷を前提としたレイアウト表示のWordに比べ印刷イメージがとらえにくいのです。データで管理するため印刷の必要がない場合は支障ありませんが、いざ印刷しようとするとうまくページに収まらず困ってしまうことがあります。
まずは小さな表、大きな表を印刷するときのポイントを押さえておきましょう。
小さな表を大きく印刷したいとき
データが少ない小さな表を印刷したときに、A4用紙の左上にちょこんと印刷されている資料を見かけます。見えればいいだろうと考えるのではなく、資料を見る人のことを考え少しでも見やすく印刷したいものですね。
△ 印刷設定を行わず印刷した場合:左上に寄ってしまう

○ 印刷設定を行った場合:用紙の左右中央に収まる

<印刷設定の仕方>
① 用紙の左右中央に設定:ファイルタブ→印刷→ページ設定→ページ設定ダイアログの余白タブ→ページ中央の「水平」にチェックを入れます。(垂直にチェックを入れると上下の中央に配置されます)

② 表の拡大:同じくページ設定のダイアログからページタブ→拡大/縮小に数値を入力(拡大率は任意)します。

このようなちょっとした気配りで資料だけでなく作り手の印象も良くなります。
大きな表をはみ出さずに印刷したいとき
印刷すると、「1列はみ出した」「1行はみ出した」といって2ページになってしまうことがあります。全体の行間をつめてみたり列幅をぎりぎりに狭めてみたり、あるいは余白の調整で乗り切ろうとして手間取った、ということはないですか?
そんなときは、列・行の縮小を行うことで簡単に1ページに収めることができます。
△ 右端の1列(携帯番号)のみが次のページになってしまう

○ 列の縮小を行うと、右端の列(携帯番号)も1ページに収まる

<設定の仕方>
①ファイルタブ→印刷→設定→縮小・拡大から「すべての列を1ページに印刷」をクリックします。(行が次のページになってしまう場合は、「すべての行を1ページに印刷」をクリックします)

「シートを1ページに印刷」を選択すると、行・列ともに1ページに収まりますが、すべてのデータが1ページ内に縮小されるためデータ量が多いと読めないほど小さくなるので注意してください。
複数ページになる大量データの場合
1行はみ出すという表ではなく、リスト表のように複数ページになる大量データの場合は自動的に改ページされますが、2ページ以降にはフィールド(項目行)が印刷されません。
そのため、どの列に何のデータが印刷されているのかがわかりにくくなってしまいます。2ページ以降すべてのページの1行目にフィールド(項目行)を印刷しておくと、より見やすい資料になります。
<設定の仕方>
①ページレイアウトタブ→ページ設定グループ→印刷タイトルをクリックします。

そうすると、シートタブが開いた状態でページ設定ダイアログが表示されます。
②シートタブで、印刷タイトルのタイトル行内にカーソルを置きます。
③ワークシートの1行目を行選択します。1行目が絶対参照で自動入力されます。
④OKボタンをクリックして閉じます。

そうすると以下のように、データの増減に関係なく1行目の項目がすべてのページの1行目に自動印刷されます。

印刷のときだけケイ線をつけられる?
リスト表はデータが密集して大量になります。ワークシート上で作業を行うときには枠線が表示されているのでケイ線がないほうがスッキリと作業しやすい場合もあります。また、あらかじめケイ線を設定しておくと、データが追加になるたびにケイ線も設定しなければなりません。「ワークシート上で作業を行うときにはすっきりとケイ線なしで、印刷時のみデータのある所に自動でケイ線を印刷してくれる」。こんな便利な機能がチェック1つで設定できます。
●ワークシートで作業するときはケイ線なし

●印刷時は自動でケイ線が設定できる

<設定の仕方>
ページレイアウトタブ→シートのオプショングループ→枠線の「印刷」をチェックします。

データが追加されても自動的にケイ線が印刷されるので修正の手間が省けます。
ある項目だけ印刷したくない、そんなときは?
最後に、知っていると便利な印刷方法をもう1つご紹介します。
例えば先ほどのリスト表の「誕生日」のF列は印刷不要な場合、どうしますか?
一番右側のI列「携帯」を印刷から省くにはA列〜H列の「婚姻」までを選択して印刷範囲の設定(ページレイアウトタブ→ページ設定グループ→印刷範囲→印刷範囲の設定)で印刷から省くことができます。でも、表の中にある列を省いて印刷範囲の設定はできません。そんな場合は、列を非表示にしておくと印刷から省くことができます。
<設定の仕方>
①印刷したくないF列「誕生日」を列選択し右クリックをします。
②ショートカットメニューから「非表示」をクリックします。

すると、F列「誕生日」が非表示になります。

印刷プレビューでもF列は非表示になります。

印刷が終わったら、非表示にした列を元に戻しておきましょう。
<戻し方>
①非表示の列前後を含めて列選択し、右クリックをします。
②ショートカットメニューから「再表示」をクリックします。

非表示にした列が表示されます。
Excelの印刷時に「こんなことで困るんだけど!」と、皆様からよくいただくご質問のいくつかをご紹介いたしました。ぜひ、お役立て下さい。
質問コーナー
Q:月ごとにワークシートを分けて1年12枚のシートでデータを管理していますが、1年分まとめて印刷したいときに、1シートずつ12回印刷を行っています。まとめて印刷する方法はありませんか?
A:ファイルタブ→印刷をクリックしてプレビュー画面になると、左側に印刷設定の項目がありますよね。初期値では「作業中のシートを印刷」になっているので、「ブック全体を印刷」に変更するとすべてのワークシートが印刷されます。1回の印刷で終わりますよ。

ちなみに、すべてのワークシートではなく「このシートとこのシートのみ」というように選択したワークシートのみまとめて印刷したい時は、Ctrlキーを押しながらシート見出しをクリックして印刷したいワークシートのみ選択しておきます。後は「作業中のシートを印刷」とすれば、選択したワークシートのみがまとめて印刷されます。
フォーティ(東京・台東)取締役。日本大学芸術学部卒。CATVの制作ディレクターを退職後、独学でパソコンを習得。東京・浅草に完全マンツーマンのフォーティネットパソコンスクール(http://www.fortynet.co.jp/)を開校して20年以上になる。近著に「スペースキーで見た目を整えるのはやめなさい」「エクセル方眼紙で文書を作るのはやめなさい」(ともに技術評論社)