ミシュラン3年連続一つ星獲得店の新業態の朝食は…

ミシュラン3年連続一つ星獲得店の新業態「Hotel’s(ホテルズ)」の1品「アボカドのスモーブロー」

森の風景を見ながら、2階へ上がっていこう。ミシュランガイド東京2020から2022年版まで3年連続で一つ星を獲得中のフレンチ「sio(シオ)」の新業態店、「Hotel’s(ホテルズ)」だ。

sioは以前、当欄(「紅茶、玉露、ほうじ茶…料理味わうティーペアリング」)でも紹介したことがある。オーナーシェフの鳥羽周作さんは現在もメディアで引っ張りだこの料理人だ。

鳥羽さんは都内に複数のレストランを展開し、大胆でユニークな発想はオープンのたびにメディアやネットで話題になるが、このHotel’sも面白い。テーマは「架空のホテルのレストラン」で、「いつ訪れても心躍る、ホテルのダイニングに着想を得たモーニング・ランチ・ディナーのスペシャリテを提供する店」がコンセプトだ。

コンセプトは「架空のホテルのレストラン」(Hotel’s)

シックで上質な雰囲気が、店内から見える森の風景に合っている。朝昼夜、全時間帯で提供するのはコースのみ(2500円~)。朝食メニューの一つ「アボカドのスモーブロー」を食べてみた。

鳥羽さんが北欧で食べて「いつかうちでもやりたい」と感動した料理だそうで、オイルコンテンツ(アボカドの脂肪分)が高い高級アボカドを使用したオープンサンドだ。濃厚な果肉とほんのり甘い自家製マヨネーズ、タマネギやワサビの辛味、パンの香ばしさと色々合わさってなんともうまい。

朝昼夜共通で提供する名物「ホテルズサラダ」も人気。ロメインレタスやリンゴ、ナッツ、ドライフルーツなど20~30種の日替わり食材を塩とオリーブオイルだけでまとめたサラダで、食べた客がたくさんの画像をネットに投稿している。

鳥羽さんの料理はシンプルだが安定したおいしさで、記憶に残る。今回「ホテル」に着目する発想は、どうやって思いついたのだろうか。「21年10月1日の開業でしたが、当初は今年初めに異なる業態で出店する予定でした。しかし長引くコロナ禍で状況も変わり、開業を延ばしてチームで再度練り直しました。そして僕らが見本にするザ・リッツ・カールトン ホテルのような高いホスピタリティーを、いつの時間帯もおいしい食事と共にお届けする店、として作ったのです」(Hotel’sシェフの木田翼さん)

飲食店が営業時間短縮を余儀なくされるなか、メディアで話題になったsioの「朝ディナー」の好評価も、今回の新店につながったという。

四季折々の自然の中で美食を楽しめる

「ののあおやまショップ&レストラン」では、来年春には、肉が売りのイタリアンもオープンするという。同施設の企画・運営を行うたりたり(東京・港)によれば、今後は施設内の飲食店から出る野菜くずやコーヒーかすをコンポストにして森に返す、サステナブルアクションを計画しているとのこと。

また昨年、森をステージに能やダンスの芸術的イベントを開催し大成功を収めたそうで、飲食店とも協力し、立地を生かした音楽会や屋外映画館も予定している。食べたり施設内を移動したりする間に、絶えず緑や紅葉が目に入って癒やされた。緑を見ると不思議と体に力がみなぎる。パワーをもらいに、たびたび足を運んでしまいそうだ。

(フードライター 浅野陽子)

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