「前代未聞だったと思うのですが、快く送り出してもらえました。実は以前から教育プロジェクトを立ち上げ、社内外で積極的に活動しており、それも良かったのだと思います。教育分野に対する情熱は、一定程度社内で理解されている状態でした。会社の柔軟な対応に感謝しており、いずれはここで得た知見を還元し、恩返しできればと思っています」

水海道第一高等学校・付属中学校の副校長(来年度校長着任予定)として活躍する福田崇さん(エン・ジャパン提供)

クリエーティブ授業、失敗の危機を超えて

── 教育分野に関心を持ったきっかけは。

「現在、小学1年生の子どもの存在が、未来の教育について真剣に考えるきっかけとなりました。電通時代から『導き方に変革を、学びに自由を』『新しい時代の、新しい学び文化づくり』を掲げて教育プロジェクトを続けてきました。新しい教育の実践者たちにふれることで、自分の教育観もアップデートされてきました」

「ただ、そこで痛感したのが、リアルな教育現場を知らない自分の弱み。教育フォーラムで話をする機会も増えていましたが、もし『現場も知らないくせに』と言われてしまったら反論できない歯がゆさを感じていました。経験に勝るものはないと考え、学校教育の世界に飛び込む決意をしました。自分の子どもは小学生ですが、プロジェクトの関係でこれまでも中学校や高校に見学に行く機会が多々ありましたし、仲間の先生方も中高で教えている人が多く、様々な縁があったのも幸いでした」

── 副校長着任から約3カ月、すでに形になった取り組みはありますか。

「現役の電通クリエーターによる特別授業『電通クリエーティブ・スクール』は非常に好評です。第1回のテーマは『面白いことには価値がある』でした。生徒たちのなかには、『社会に出て働くことは嫌なこと』といった前提が少なからずあります。そういった前提がひっくり返った時に、キラキラと目が輝くのです。自分が面白いと思えるものを作り、生きていく道があってもいい。その実践について現役クリエーターたちに話をしてもらいました。狙い通り、生徒たちの食いつきはとても良かったです」

「とはいえ、最初は全くうまくいきませんでした。60名が入れる教室を借りたのに、参加を希望した生徒はわずか13名。どのように生徒たちにアプローチできるのか教頭先生に相談したところ、『校内放送で告知するのはどうか』とアイデアをもらえました。校内放送を使って3日間告知した結果、最終的に70名もが参加を希望してくれました。第2回は140名の生徒が集まり、大盛況となっています」

「電通クリエーティブ・スクールを『学校行事』扱いにしたのも、良かったと思います。部活動よりも学校行事を優先させていいという学校のルールがあるからです。部活動の顧問の先生も『部活を休んでスクールに行っていいよ』と生徒を後押ししてくれたと聞き、うれしかったです。出向してすぐでしたが、困っていることは素直に困っていると伝え、頼っていく。わからないことは聞く。これらはとても大切なことだと感じました」

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