
結論から言うと、塩むすびに合う塩は主に「しょっぱさがまろやか」で「粒が細かい」ものがいい。お米は多少の味の濃淡はあっても、ほかの食べ物と比べると総じて味わいは繊細だ。だから、しょっぱさが強い塩だと、ごはんの味わいがかき消されてしまう。
ごはん粒にしっかりと塩がなじんでいるかも重要だ。なじんでいなければ、塩がジャリジャリして、ごはんの食感をかき消してしまう。だから、塩の粒は総じて細かい方がいい。スーパーや百貨店などで手に入りやすい塩を挙げたので、参考にしてほしい。
【もっちりしていて食感が硬めの塩】
浜御塩(長崎県/海水塩)、玉藻塩(新潟県/海水塩)
【もっちりしていて食感が軟らかめの塩】
ゲランドの塩 エクストラファン(フランス/海水塩)
海人の藻塩(広島県/海水塩・藻塩)
【あっさりしていて食感が硬めの塩】
シャークベイソルト(オーストラリア/海水塩)、クリスマス島の塩(キリバス共和国/海水塩)
【あっさりしていて食感が軟らかめの塩】
アルペンザルツ(ドイツ/岩塩)、伯方の塩 焼塩(愛媛県/海水塩)
「もうちょっとしょっぱさがほしいな」と感じることもあるだろう。そんな時は「追い塩」を試してみてほしい。握るときに使った塩を、小袋などに入れて添えておく。それを少し追加してみるといい。
塩むすびは、ごはんと塩のシンプルな組み合わせだが、そこに付随する変数は実は非常に多い。今回はごはんのタイプ別に相性の良い塩を前提条件を設けつつご紹介したが、堅苦しいことは言わず、家にある塩をいろいろ使って新米で塩むすびをまずは作ってみてほしい。炊きたての新米をそのまま口にする時とはまた違ったおいしさを、きっと感じるに違いない。
(一般社団法人日本ソルトコーディネーター協会代表理事 青山志穂)