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最も多い悩みは「夜中トイレに起きる」

それでは、尿に関するどのような悩みが多いのだろうか。先ほどのアンケートでは、以下のような結果となった。

どのような尿に関する悩みがありますか(複数回答可)

アンケート実施期間:2022年7月~8月 回答数:563

ダントツの1位は、「夜中にトイレに行くために目が覚めることがある」で、62.9%だった。2位は、「尿の勢いが低下したり、排尿に時間がかかるようになった」で、36.4%。3位は「昼間に頻繁にトイレに行きたくなる」で31.4%だ。

これは、疫学調査の結果とも一致している。日本排尿機能学会が40歳以上の日本人を対象に実施した調査では、尿に関するトラブルの症状のうち、就寝した後、夜中に起きてトイレに行くことが1回以上ある「夜間頻尿」の人が最も多く、約4500万人いると推測されている[注1]

一方、1日のうち、起きている時間に8回以上トイレに行くことを「昼間頻尿」といい、こちらは先ほどの調査では約3000万人と推測されている。尿の勢いが衰え、排尿に時間がかかる「尿勢低下」は約1700万人となっている。

[注1]日本排尿機能学会誌. 2003;14(2):266-277.

夜間頻尿に詳しい桜十字病院上級顧問の吉田正貴氏は、「実際には、夜中に1回トイレに起きるだけで治療を必要とするケースはあまりありません」と言う。

治療を考える目安は、トイレに起きる「回数」よりも、「どれくらい困っているか」に基づいている。「1回でもつらい」という人もいれば、「3回起きても特に問題はない」という人もいるという。

近年、夜間頻尿に関する研究が進み、夜間頻尿の症状に効果的な新しい薬が登場している。そして2020年には、「夜間頻尿診療ガイドライン[第2版]」(日本排尿機能学会/日本泌尿器科学会)という新しいガイドラインが発行された。新ガイドラインの特徴の1つは、夜間頻尿の原因によっては、日常生活の中で実践できる「セルフケア」が重視されている点だ。

例えば、夜間に出る尿の量が多くなっている人は、夕方になると足のすねやふくらはぎがむくんでいる場合がある。夕方にウォーキングを行ったり、「弾性ストッキング」を着用したりすると、足のむくみが解消され、夜間頻尿が改善することがある。

「夕方のウォーキング」と「弾性ストッキング」で夜間頻尿対策

夜中トイレに起きることで悩んでいる人で、夕方になると足がむくむ場合は、夕方のウォーキングや「弾性ストッキング」の着用で対策できることがある(イラスト=堀江篤史、『尿もれ、頻尿、前立腺の本』より)

水分摂取の量を見直すことでも、夜間頻尿が改善することがある。最近は、「健康のために1日に水を2リットル飲む」という人もいるが、吉田氏によると、「1日に1.5リットル程度に抑えることで、夜中トイレに起きる回数が減ることもある」とアドバイスする。

同様に、塩分のとりすぎも、夜間頻尿の原因になる。とりすぎた塩分を体外に排出するために、尿が多く作られてしまうからだ。食事の塩分摂取量についても見直すようにしよう。

こうしたセルフケアでは改善しないケースでは、背後に病気が潜んでいることも考えられる。例えば、膀胱に十分に尿がためられなくなる「過活動膀胱」では、夜間だけでなく昼間にも頻尿が表れる場合が多い。

また、夜眠っているときに、いびきをかきながら呼吸が一時的に止まってしまう「睡眠時無呼吸症候群」があると、眠りが浅いために夜中に目覚め、それを「尿意を感じて目が覚めた」と思い違いすることもある。

いずれの場合も、原因となる病気を治療することが大切だ。

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男女の尿の悩みは「全然違う」