一橋大のCFO教育研究センター長の伊藤邦雄名誉教授は「一橋大の出身者は経営学や会計学などビジネスの基礎を学んでいる人が他大学と比較して相対的に多い。大手企業のマネジャークラスになると、学生時代の知識が生かされ、能力を発揮する人も出てくるのだろう」と話す。

一橋大は渋沢栄一が建学に携わった

一橋大は森有礼(初代文相)が渋沢らの協力を受け、1875年に設立した商法講習所が源流。中山素平・日本興業銀行(現みずほフィナンシャルグループ)元頭取や経団連会長を務めた奥田碩・トヨタ自動車元会長など多くの経済人のほか、大平正芳元首相や石原慎太郎元東京都知事など政治家も輩出してきた。近年は楽天グループ創業者の三木谷浩史会長兼社長ら起業家も増えている。

最近話題の渋沢。一橋大にとっては恩人とも言える存在だ。かつて一橋大の前身、東京高等商業学校は大学昇格を目指していたが、当時の文部省は東大の前身、東京帝国大学への吸収合併を決めた。だが、学生や教職員は猛反発。渋沢が同省を説得し、1920年の東京商科大学の設立にこぎ着けたと言われる。

2021年の一橋大の入学式で、中野聡学長は渋沢が「人づくり」に貢献したことに触れ、「渋沢の遺産は東京にある有名な一橋大学である」という米経済学者のピーター・ドラッカー氏の著書の一節を引用した。500社余りの企業の設立に携わり、多くの社会貢献活動も支援し、再評価されている渋沢。彼が残した大学からは優秀なリーダー人材が次々に育っている。

(代慶達也)