和牛のネックでつくった「和牛ベーコン」が絶品

単品の一番人気は「和牛チーズバーガー」(1650円)。ベースとなる「THE和牛バーガー」にチェダーチーズをプラス。「和牛バーガー」には「和」の世界をしっかり感じてもらいたいと、通常のマッシュルームに加えシイタケを使ったデュクセルソースを使用。また、平城苑の焼肉のタレを用いたバーべキューソースで仕上げている

「スネ肉でおいしい料理はできても、焼き肉を食べにいらっしゃるお客様にとってそもそも料理の優先順位は低い。どうやって、こうした部位を活用するかは長年の課題でした」(平城苑経営企画室新規事業担当マネージャーの西野英樹さん)と言う。そうした中、同社が焼肉店を出店する商業施設コレド室町テラス内で別会社のハンバーガー店が閉店することになり、その機材をそのまま受け継ぐ形で、ハンバーガーの店を開くことになった。話が進み始めたのは、昨年11月頃だったという。

50年の経験から和牛の特徴は知り尽くしているとはいえ、ハンバーガーは経験のない新しい料理。料理を完成させるためにアドバイスを得たのは、人気グルメバーガー店「GOLDEN BROWN(ゴールデンブラウン)」(経営:ジョンノブアンドパートナーズ、東京・渋谷)のオーナーシェフ、久富信矢さんだ。「うちの店では、オーストラリア産の牛肉を使っているのですが、和牛は別の生き物みたいに味が違う。最初にうちの店のバンズに挟んでみたら、和牛は味が繊細なのでパンの味の方が勝ってしまった。簡単に仕事を受けてしまいましたが、大変でした」と話す。

完成したパティはスネ肉100パーセントだが、最初からこの配合となったわけではない。やはり焼き肉で使いづらい部位を中心に4種類ほどの肉と合わせながら、肉のひき方も何種類も試した。また、最終的には粗びきと中びきの2種類を合わせることになったが、配合は10パーセント刻みで試作したという。ここまで細かな作業ができたのも、一頭買いし自社で加工工場を持つ平城苑だからだろう。バンズも既製品ではこれというバランスのものに出合えず、フランスパン専門店「MAISON KAYSER(メゾンカイザー)」に依頼し、オリジナルで作ることに。生クリームを用いたリッチな味わいのパンだ。

これを目指して飲みに行きたくなるような「和牛ベーコン」(写真は、トッピングを皿に盛ったもの)

バンズの方向性が決まっていくなかで、「THE和牛バーガー」最大の特徴である食材のアイデアも生まれた。ネック肉を使った「和牛ベーコン」だ。力強い薫製ができる桜チップで3時間いぶした薫香豊かなベーコンで、これが全体をまとめあげている。「和牛でベーコンを作ったらどうか」という平城苑社長、鏑木順之さんの一言がきっかけだという。

「最初は薫製の味に覆われ、和牛のよさが分からなくなるのではと思ったが、試作すると段違いにまとまり驚きました」と西野さんは振り返る。そして、この「和牛ベーコン」こそが、このハンバーガー片手に酒を飲みたくなる一番の理由。上質の肉の薫製が使われているとなれば、酒が合わないわけはないのだ。

ベーコンは、トッピングとしても売られていて、別皿に出してもらうことができる。その値段はなんと280円。たっぷりとした薫香でかむほどに味わい深いベーコンは、これをつまみに2杯は飲めそうな逸品である。スナック菓子のような値段で、A5ランクの和牛を用いたつまみを頼めるとは、至福の外飲みではないか。

左が「ラムコーク」、右は「ハイボール」(550円)。ハイボールに使用しているのは、スコッチウイスキーの老舗ブランド「デュワーズ」だ

「和牛ベーコン」を使用しているハンバーガーは「THE和牛バーガー」とこれにチェダーチーズをプラスした「和牛チーズバーガー」。ビールにも合うが、組み合わせを試してほしいのは「ラムコーク」(550円)だ。2~3年オークだるで熟成したラム原酒をブレンドした「バカルディ ゴールド」を使ったコーラ割りであるため、たる香がベーコンによく合う。

せっかくの外飲みの解禁。コロナ第6波にも留意しながら、まずはファストフード店で軽く極上飲みといこう!

(ライター メレンダ千春)

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