
TwitterやYouTubeで「1年目で退職しました」「仕事辞めた21卒」などの“早期離職”宣言を最近よく見かける。長引くコロナ禍、先が見通せない不安定な情勢のなかでも、新卒入社して早々に転職を検討する若手社会人が増えているようだ。いわゆる「第二新卒」の転職はどうなっているのか、その実態に迫った。
◇ ◇ ◇
夜7時半に始まった採用説明会は、ビデオ会議システム「Zoom」によるオンライン形式。新卒採用のピークが過ぎた9月上旬にもかかわらず、約300人がリアルタイムで視聴していた。よくある採用説明会と違うのは、参加者たちの顔ぶれ。参加者のほとんどが新卒入社から約3年以内の若手社会人――「第二新卒」の転職希望者だ。
第二新卒向けのオンライン説明会を主催したのは損害保険最大手の東京海上日動火災保険。秋採用をオープンするにあたって、新卒だけでなく第二新卒にも応募資格を広げた。
「『やっぱり最初は代理店営業に配属なんですか?』とよく聞かれるのでお伝えします。適性に応じて様々な配属がありますが、確かに多いのは事実ですし、キャリアのどこかで経験することになります。顧客から信頼を得るのも結構大変です。そこに抵抗があるなら、弊社には向かないかもしれません」。説明会では、泥臭いイメージのある代理店営業の実態を採用担当者が伝える場面があった。
「働いた経験のある人たちだから、いいことばかり言わず、実態を伝えるようにしました」と話すのは同社人事企画部人材開発室・採用チームリーダーの山城真さん。
「コロナ禍の新卒採用はオンラインが主流。直接会えないなかで、人事担当者としてマッチングを見極める難しさを実感しました。今回、第二新卒採用を始めたのは、コロナ禍で就職した人の中には『就活をやり直したい』『この会社でよかったのかな』と思う方が一定数いるのではないかという仮説があったからです」(山城さん)
秋採用にエントリーした600人のうち150〜200人ほどが第二新卒だという。職業経験は不問、入社後は新卒と同じ待遇で研修や配属が行われる。
大手も積極採用 20代前半の転職決定数、3倍以上に
東京海上の事例は決して特殊なケースではない。20代向けの転職サイトを眺めると、総合商社、デベロッパー、大手出版社など、名の知れた大企業がずらりと並ぶ。エントリーの前に説明会に参加するよう呼びかける求人も多く、まるで新卒向けのナビサイトを見ているようだ。
第二新卒は法的な定義があるわけではなく、一般的に学校卒業後、一度就職をしたが3年程度のうちに離職し、転職活動をする若手求職者を指す。筆者は2017年に、社会人3年目で転職したので当時は第二新卒に該当しただろうが、上記のような国内大手企業は「新卒カード」を使わないと入れないイメージがあり、友人の間でも20代前半で転職を選ぶのは少数派だった。「そんなに早く転職して大丈夫なの?」と心配されることの方が多く、おおっぴらに言えない雰囲気もあった。
ここ数年で何が変わったのだろうか?