
冬の金沢といえば、兼六園の雪つりや香箱ガニの美味などが思い浮かぶ。九谷焼や加賀友禅などの伝統工芸やアート、加賀棒茶や和菓子など加賀百万石の文化が今なお息づく街の魅力はたまらない。そんな金沢らしさをアクティビティーやインテリアに取り入れた最旬のホテルと、その周辺の街歩きをご案内しよう。
金沢の中心地、片町に2022年5月に開業した「OMO5金沢片町 by 星野リゾート」は、「あっぱれ!味のかたまち」がコンセプト。街を知り尽くした「ご近所ガイドOMOレンジャー」による「ご近所アクティビティ」や、ホテル周辺の店や魅力が一目でわかる「ご近所マップ」が街歩きの際にとても役に立つ。
まず「金沢片町味わいまっし散歩(無料、要予約)」は、ホテルから夕方4時に出発する1時間の散策ツアー。戦災を逃れた古い街並みが残る金沢の歴史や文化についてや、「味のかたまち」にある金沢おでんや、のど黒の名店、レトロなバーなどを案内してくれる。途中で有名な和菓子店での試食タイムもある。
「生らくがん作り体験」(1000円、要予約)と「いいじな棒茶の飲み比べ体験」(無料、予約不要)という和菓子とお茶が味わえる2つのアクティビティーを用意しているのも、金沢ならでは。生らくがんは通常のらくがんより、しっとり軟らかいのが特徴で、伝統的銘菓として知られる。金沢の老舗和菓子店「落雁(らくがん) 諸江屋」の協力のもと、オリジナルで開発された手作り体験という。材料を混ぜて10種類の型の中から2つを選び、押し固めて作る和菓子作りなど普段、なかなかできない体験だろう。

朝には「金沢21世紀美術館お散歩ツアー(無料、要予約、所要時間約75分)」もある。この美術館は展覧会ゾーン(有料)にあるプールに入り込んだ感覚で鑑賞できる「レアンドロ・エルリッヒ《スイミング・プール》」が有名だが、建物内には「交流ゾーン」と呼ばれる無料エリアもある。ツアーでこの無料エリアを回ると、世界的にも有名な美術館が、新たなにぎわいの創出や、伝統や歴史に根ざした新たな文化の創造をしていることがわかる。台湾のアーティストが描く加賀友禅をモチーフにした全面壁画、金沢の空を見上げる「雲を測る男」など解説を聞けばさらに興味がわく作品や、子供と一緒に遊べるキッズスタジオなども紹介してくれる。
ホテル内のOMOカフェでは「棒茶あんみつ」や自分でクリームを絞って仕上げる「五郎島金時(サツマイモ)のモンブラン」作り体験が楽しめ、朝食には棒茶を出汁(だし)に使った「棒茶と生麩(ふ)のリゾット」などが味わえる。食、文化、街歩きといろんな観点から金沢片町の魅力を満喫できる仕掛け満載のホテルになっている。