私服は「アルマーニ」や「プラダ」

松平健氏と親交もあるペリー荻野氏に聞いてみたところ、私服は「アルマーニ」や「プラダ」といったハイブランドの、それも黒色を好んでよく着ているらしい。もっとも、舞台に時代劇に多忙な松平健氏を取材する時は大抵楽屋なので、いつもハイブランドの黒いジャージーのセットアップか浴衣を着ているそうだ。ちなみにマツケンサンバで着ている金ピカの着物の生地は、ミラノで舞台公演があった時に女性もののドレス生地屋で見つけたものである。以来、ミラノやNYに行って生地を大量に買ってきてマツケンサンバの衣装を仕立てているんだそうだ。

私服は黒がお好み

松平健氏のような時代劇で主役を張れる役者には、演技力だけではなく、所作や、姿勢の良さも要求される。着物を着た立ち姿が似合うかっぷくのいい体形、いい意味での顔のでかさ。これも時代劇スターとして求められる条件だ。今どきの若手俳優や、夏になると見かける浴衣男子諸君にはこれが足りないので、イマイチ着物が格好良く着こなせないのだ。

これはそのまま、スーツを格好良く着こなせる条件としても当てはまる。だから松平健氏はスーツスタイルもよく似合う。紳士服の「コナカ」のCMキャラクターにも、長年起用。特に90年代にオンエアされていたバブリーな肩幅の広いダブルのソフトスーツを着こなすマツケンは、今見ると一周回って新鮮でおしゃれでカッコイイ。

年齢を重ねて渋さも増してきた今の松平健氏なら、「ハウス・オブ・グッチ」のアル・パチーノみたいに貫禄たっぷりでグッチのスリーピースを着こなせると思う。フィレンツェのサルトリア「リベラーノ&リベラーノ」でグレーのピンストライプのダブルのスーツなんかを仕立てて着たら、さぞかし格好いいだろうなぁ。そういえば以前、ナポリのスーツブランド「イザイア」のパーティーが六本木ヒルズで行われた時に、かっぷくのいいイザイアの最高経営責任者(CEO)のジャンルカ氏が、裏地がイザイアのアイコンのサンゴみたいな鮮やかなパープルのド派手なピンストライプのダブルのスーツに雪駄を履いていた。今の松平健氏なら、こんな艶っぽいスーツの着こなし方だって絶対似合う。

ぜひともマツケンには、1月にフィレンツェで開催された冬の「ピッティ・イマージネ・ウォモ」は間に合わなかったが、6月に開催される夏のピッティに日本を代表するファッショニスタとして、イタリアで買った生地で仕立てた金ピカの着物を着てパァーッとド派手に元気にマツケンサンバⅡを歌って踊って参加してもらいたい。オリンピックの開会式はダメだったが、コロナ禍のピッティにこそ「マツケンサンバⅡ待望論」だ。♪オレッ!

いで あつし
1961年静岡生まれ。コピーライターとしてパルコ、西武などの広告を手掛ける。雑誌「ポパイ」にエディターとして参加。大のアメカジ通として知られライター、コラムニストとしてメンズファッション誌、TV誌、新聞などで執筆。「ビギン」、「MEN’S EX」、JR東海道新幹線グリーン車内誌「ひととき」で連載コラムを持つ。

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