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オープンワーク社長の大沢さん

オープンワーク社長の大沢さん

2023年は「人的資本経営元年」とも呼ばれる。上場企業など約4千社が人材育成やダイバーシティなど19項目の非財務情報の開示に乗り出すからだ。どんな会社が人材をうまく育てているのか。リスキリングは必要か。1400万件以上の社員クチコミや会社の評価スコアを有するオープンワーク社長の大沢陽樹さんに聞いた。

20代の成長環境、8項目で唯一スコアダウン

――最近の新卒は、3年以内に3割は辞めると言われます。どのように若手人材を育成すればいいのでしょうか。

「実は若手人材の育成に関して、この口コミのデータを分析して意外なことが分かりました。私たちの運営している『OpenWork』では、20代の成長環境や人材の長期育成、待遇面の満足度,社員の士気,風通しの良さなど8項目に関して、社員の口コミのデータを収集・分析してスコア化しています。実はこの10年で、8項目のうちで唯一スコアが下がっているのが20代の成長環境だったのです。個別の企業ではプラスとなっているところもありますが、全企業平均ではスコアが下がっているわけで、驚きましたね」

――働き方改革が進んだ結果、残業時間が減り、上司のハラスメントも少なくなっているイメージだったので、確かに意外な結果ですね。なぜなのでしょうか。

「確かに働き方改革は進んでいます。残業時間は減り、仕事自体は楽になっているかもしれない。しかし、20代の成長環境が良くなっているかは別の問題になります。ポイントは裁量権と学びの環境にあります。うちは若手に裁量権を与えている良い会社というところも少なくありません」

「しかし、やる気があり、能力のある人材を採用して、裁量権を与え、それを適切に評価、待遇しなければ、今の若手人材は成長環境のある会社とは認めません。逆に十分な能力やスキルがないのに、裁量権だけ渡されても、困るという若手もいます。安心して働けないというわけです。結果、いずれの場合も退職につながってしまうケースも出てくるわけです」

――会社側はよしだと思っても、いきなり責任だけ持たされて頑張っても安月給ではやる気を失いますね。学びに関してはどんな課題があるのですか。

「最近、リスキリングが問われますが、研修機会を用意している大企業は少なくありません。しかし、せっかく学んでもフィードバックがないと意味はない。あるスキルを身につけても、上司や先輩から『いいね』と評価されたり、助言や注意、忠告などフィードバックがないと若手人材の成長につながりません。最近はハラスメントを恐れ、若手ときっちり向き合わない上司や先輩が増えています。これでは手応えを感じなくなり、ぬるま湯になるだけ。能力のある若手ほど嫌がり、成長を感じづらい環境と言えます」

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