
昨今、問題となっているファッションの平準化。どこを見ても同じようなブランドばかりと嘆く方に推したいのがこの2店。往年の名品&隠れた逸品がそろう濃い品ぞろえが刺激的だ。
■東の名店[ナミキヤ]

ナミキヤの代表を務める中嶋 博氏は、メンズウエアのインポートに携わって半世紀以上。セレクトショップの先駆であるビームスもまだオープンしていない時代から、現在まで現役を張るレジェンドである。昨年、長らくショップを構えた両国から鎌倉・鶴岡八幡宮のすぐそばに移転。若者や観光客でにぎわうエリアだけに、客層もかなり変わったのでは?と想像していたが、「やはり商品をお買い上げいただけるのは40代以上の大人が多いですね」と中嶋氏。ところ変われどナミキヤの趣は健在だった。
以前はデッドストックの宝庫だったが、現在はあらかた放出。この秋入荷予定というホッファー(下参照)がその締めくくりとなりそうだ。が、現行品の数々も古き良き時代のムードを色濃く残した逸品ばかり。いまや別注によるモディファイ品ばかりになった今においては逆に新鮮だ。「安易なモダナイズはしません。オリジナルに勝るものはない、というのが私の持論ですから」。大ベテランの言葉だけに、その響きは重い。
■HOFER
オーストリアの老舗チロリアンジャケットメーカー、ホッファーが手がけた一着。実は30年近く前に設備が寿命を迎え、もう新たに作ることはできないのだそう。つまりこちらは約30年モノのデッドストックというわけだ。中嶋氏はかねてオーナーファミリーと懇意にしていたため、残存していた在庫を特別にまとめて引き取ることができた……という事情らしい。服好きの間で今、人気が過熱していて、昨年入荷したジャケット80着は即完売。それで弾数が尽きたと思われていたが、ごくわずかだけ追加が発見され、それがまもなく入荷予定だそう。これが正真正銘、最後の在庫だ。7万2600円

■KILKEEL
1940年代からアイリッシュニットを手がけるキルキールのケーブルニット。こちらはデッドストック品で、なんと英国製の手編み! いまやほとんど見かけなくなっただけに、ぜひとも入手しておきたい希少な一着だ。4万2900円

■WILLIAM LOCKIE
ウィリアム ロッキーのバリエーションも多彩。ちまたではほとんど見かけないカシミヤニット(写真)もそろえるほか、ラムズウールのラインアップも圧巻。アーガイルなど古き良きデザインが並ぶ。7万7000円

■SCHNEIDERS
昨今、若者たちの間で人気のローデンコートも発見。ローデンクロスならではのノーブルなカントリーテイストと、ハンティング時の動きやすさに配慮したフローティングショルダーなど独特の個性が魅力的だ。15万1800円


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