インドネシア、バリ島のビーチリゾート、サヌールで毎年開催されているバリ・カイト・フェスティバルで、伝統的な凧、ベベアンの飛行を眺める男性。魚の形をしたベベアンは、最も人気がある凧の1つだ。このフェスティバルには、バリ島だけでなく世界中からチームが集まる（PHOTOGRAPH BY PUTU SAYOGA）2022年5月下旬、インドネシアのバリ島に強い風が吹き始めると、凧揚げ（たこあげ）シーズンの到来だ。空に色とりどりの凧がはためくようになり、凧揚げ祭りがあちこちで催される。
バリ島の写真家プトゥ・サヨガ氏にとって凧揚げは、子供のころの楽しい記憶と結びついている。稲刈りの済んだ田んぼで、年上の子供たちが凧揚げするのを眺めていた。凧に糸を結び付けさせてくれることもあった。自分で凧をつくろうとしたこともあるが、竹の骨組みを成形するのに苦労した。年上の少年が、最も揚げやすい魚形の凧、ベベアンをつくってくれた。
サヨガ氏が子供時代を過ごした1990年代初頭、長い乾期の午後はほかにすることがなかった。「当時は携帯電話もありませんでした」とサヨガ氏は笑う。
バリ島の白い砂浜に外国人旅行者が押し寄せるようになったのは1970年代のことだった。そして1978年、人気のビーチであるパダン・ガラックとメルタサリで年一度の凧揚げフェスティバルが始まった。その祭りは、瞬く間に大規模な競技会に発展した。近隣の村から集まった数十チームに加えて、凧のつくり方と揚げ方を習得した外国人が、バリ島のトップを目指して競い合う。
インドネシア、バリ島にあるトゥンジュク村の田んぼで凧を持って走るマデ・ドゥウィ・サストラワン君。凧揚げは古くからバリ島の文化の1つだ（PHOTOGRAPH BY PUTU SAYOGA）
トゥンジュク村の田んぼで凧を持つマデ・アグス・アリアンディカさん（PHOTOGRAPH BY PUTU SAYOGA）
トゥンジュク村の田んぼで凧を持つコマン・ウィンドゥさん（PHOTOGRAPH BY PUTU SAYOGA）空を舞う4種類の凧
フェスティバルでは、4種類の凧が空を舞う。装飾が施された尾の長い鳥または竜、おそらく最も人気がある魚、曲線的で最も飛ばすのが難しいとされる葉っぱだ。審査員は凧の美しさと「ゴニャ」を基準に採点を行う。ゴニャとは、風に乗って滑らかに舞い、静かに着地することだ。
伝統音楽ガムランの楽団。1978年に始まり、ほぼ毎年開催されているバリ・カイト・フェスティバルで撮影（PHOTOGRAPH BY PUTU SAYOGA）
バリ・カイト・フェスティバルに参加するため、メルタサリ・ビーチを目指すダンギン・ペケン村のチーム。フェスティバルにはバリ島各地の村々で結成されたチームが参加する（PHOTOGRAPH BY PUTU SAYOGA）
