独自研究を貫く京大の存在大きく

開成の野水勉校長も「確かに京大の存在は大きい。ブームに乗らず独自の研究を貫いていける環境がある」という。野水校長は開成、東大の出身で2020年に開成校長に就任するまで名古屋大学でマテリアル理工学の教授を務めていた。ノーベル賞受賞者は名古屋大出身にも3人いるが、「京大で研究に従事した方が少なくない。ただ、ノーベル賞は運もある。狙って取れる賞ではない」と語る。

しかし、東京私立の男子御三家の一角、武蔵の杉山剛士校長は「時間の問題だと思う。武蔵出身でも常にノーベル賞候補に名前が挙がる人は2~3人いる。今は50~60歳代だから、チャンスはまだまだある」という。武蔵は校内に小川が流れ、ヤギなどの動物を飼育し、アカデミックな研究環境を整えた進学校。確かに同高出身には睡眠研究の第一人者の柳沢正史・筑波大学教授などノーベル賞級の研究者もいる。

これまでのノーベル賞受賞者に東京出身者がいるかどうかで言えば、実は都内で生まれた人は何人かいる。第1回受賞者の湯川秀樹氏は東京生まれ。しかし、1歳のころ京都に移り、京大までこの地で育ち、物理学を学んだとされる。東京で生まれ育ち、高校まで都内で過ごした受賞者は見当たらない。

もともとノーベル賞は研究などの成果が出て、世界的な評価を受け、受賞対象者になるまでかなりの年月がかかる。それこそ今年受賞した真鍋氏は90歳。東大理学部を卒業し、気象学の研究を始めたのは1950年代以降の話だ。現在のノーベル賞候補者の多くは60~70歳代。男子御三家などの中高一貫校が台頭した時期との「時差」を考慮すると、今後は東京の進学校からノーベル賞受賞者が次々に誕生する可能性は低くない。

(代慶達也)

ビジネス書などの書評を紹介
ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら