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同じ日本語なのになぜ通じない?

さらにデジタル化による働き方の変化に加え、それぞれの世代が背負ってきた価値観の違いも、話し方やコミュニケーションに大いに影響を与えています。

日本人はみんな、同じ日本語をしゃべって生活をしています。だから、自分の話は通じていると思っている。気持ちも通じている、と信じています。ところが、これが大きな間違いなのです。生まれた時代、育った環境、個人の体験などによって、それぞれの脳みそにバージョンの違うパソコンが搭載されているようなもの。ざっくりとではありますが、日本人の世代感覚についてお話をしておきます。

1995年~2013年に働き始めた「平成世代」は、2022年現在、49歳~31歳に達しています。いわゆる「働き盛り」。この国を、社会を、会社を牽引する世代です。ところがこの世代、よくよく見ると、少し損な役回りを担っています。

上を見れば、59歳くらいから49歳あたりまで、1980年代後半~95年前後に働き始めた「昭和世代」の人々が座っている。経済は、右肩上がりが当たり前。男女雇用機会均等法施行(86年)以前の働き方も色濃く残った人たちが、この国の会社の幹部クラスにはずらりと並んでいます。

下を見れば、31歳から23歳あたりまで、2013年~21年に働き始めた「令和世代」が並びます。いわゆるデジタルネイティブで、「ジェネレーションZ」と呼ばれる新しい価値観を持った世代も含まれます。価値観も生活様式も、平成世代、昭和世代とは全く違います。

「平成世代」は、よくいえば、「上の世代」と「下の世代」との橋渡し役。悪くいえば、両方の世代から「どうにかしろよ!」と言われてしまうのです。

デジタルテクノロジーがコミュニケーション格差を生んだ

さらに追い打ちをかけるのが、インターネットの進化です。iPhoneの日本上陸は2008年、LINEがサービスを開始したのが11年です。この14年間で世界は様変わりし、過去の体験が生かせなくなってしまった。

もちろん、これは「平成世代」に限ったことではありません。デジタルテクノロジーの猛烈な変化で、世代間格差はさらに細かく進んでいます。1歳年齢が違えば、もう世代の違いを感じる。さらに、地域や業種などによっても考え方や価値観の違いが鮮明になっている。私たちはそんな世界を生きているのです。

上司と部下とのコミュニケーションがうまくいかない人は、まず「言葉は通じる」という思い込みは捨て、違う文化で育った、違う言語を話す人々とともに仕事をしている、と考えてほしいのです。そうすれば、心ない一言に落ち込むことも少なくなります。温かい言葉に、もっとじーんとすることができます。

博報堂スピーチライターのひきたよしあきさん。著書の『人を追いつめる話し方 心をラクにする話し方』(日経BP)では、上司と部下、世代間ギャップを感じる人の人間関係をラクにするヒントがたくさん

(写真/稲垣純也)

人を追いつめる話し方 心をラクにする話し方

著者 : ひきた よしあき
出版 : 日経BP
価格 : 1,650円(税込み)