「実力主義なので」の前に、均等な機会を与えているか?
均一的な組織が招くガバナンスリスクを学びましたが、そもそも「実力主義でやっているので、男女は関係ない」という考え方はおかしいのではないかと忠告するのは、世界経済フォーラム日本代表の江田麻季子さんです。
世界経済フォーラムは、ジェンダーギャップ指数を調査発表している国際機関です。江田氏に、「実力主義でやっているので、男女関係ない」という発言はなぜアンフェアなのかを聞いたところ、次のような指摘があり、率直で分かりやすいものだったので紹介します。
何をもって実力とみなすか。ここをしっかりと話し合わなければいけません。そして、男性と同じように機会を与えられない女性は同じ土俵にすら上がれないわけですから、そこで実力と言われてもアンフェアではないでしょうか。「男性中心の組織の中で、機会も少ないのに自然に格差がなくなるなんて、ちょっとおかしな話なんじゃないですか?」という気付きがあってもいいと思います。
日本ではジェンダー平等を目指しましょうと30年以上前から言われていますが、あまり進捗していません。政治のトップ、企業のトップがダイバーシティの実現へ真剣に取り組み、国の政策や企業の戦略に細かく入れ込んでいくことが必要です。
国の政策は強制力のあるものにして、格差を是正し、社会全体がダイバーシティを取り込むようにしていくことが必要です。一方、企業はダイバーシティが競争力を強化することを認識し、きめ細かく従業員をサポートし、働き方や評価の方法を変え、男女で同じ機会をつくっていくという、丁寧な作業が必要だと思います。
(世界経済フォーラム日本代表・江田麻季子氏)
日本ではジェンダー平等を目指しましょうと30年以上前から言われていますが、あまり進捗していません。政治のトップ、企業のトップがダイバーシティの実現へ真剣に取り組み、国の政策や企業の戦略に細かく入れ込んでいくことが必要です。
国の政策は強制力のあるものにして、格差を是正し、社会全体がダイバーシティを取り込むようにしていくことが必要です。一方、企業はダイバーシティが競争力を強化することを認識し、きめ細かく従業員をサポートし、働き方や評価の方法を変え、男女で同じ機会をつくっていくという、丁寧な作業が必要だと思います。
(世界経済フォーラム日本代表・江田麻季子氏)
2つの重要な指摘
この指摘は、経営層だけでなく若手の男女にも知っておいてもらいたいことです。江田氏の指摘は、2つの重要なポイントを押さえていると思います。1つは、「何をもって実力と見なすか」です。前回の記事「職場で女性だけ特別扱いする必要ある?と言われたら」に出たグループシンク(集団浅慮)の中でも「少数派の意見を過小評価してしまう」というリスクが挙がっていましたが、まさにその具体例だと思います。男性ばかりの均一な集団による物差しは、その母集団にとって有利な基準になっていませんか? という指摘なのです。
もう1つのポイントは、結果平等と機会平等の混同をしてはいけないということ。実力主義という前に、男女で同様な機会を与えていますか? と投げかけているのです。
