シンデレラに学ぶキャリア作り 強い意志や自己肯定感『シンデレラ 幸せを呼び込む7つの習慣』著者に聞く

「シンデレラ 幸せを呼び込む7つの習慣」

シンデレラ物語は、原型を紀元前の古代エジプトまで遡ることのできる、世界で最も歴史の長い女性のサクセスストーリーだ。厳しい環境に堪えながらも、けなげな女性が最後に愛する王子と結ばれるハッピーエンドは誰でも知っているだろう。世界で550話以上ものバリエーションがあるという。シンデレラ史を研究する小枝雅与・トレイン取締役は、2度のがんを乗り越えた自らの体験も含めて得た教訓を『シンデレラ 幸せを呼び込む7つの習慣』(講談社)にまとめた。シンデレラの立ち居振る舞いからは、現代のキャリアのための様々なヒントを読み取ることができると話す。

最古のシンデレラ物語は古代エジプト

「世界にシンデレラは550人もいる」と小枝雅与さん

 ――最も古いシンデレラ物語のひとつは、古代エジプトを舞台にしての「ロドピスの靴」とされます。ロドピスがさまざまな試練を経て、最後はファラオ王と結ばれます。君主のお祭り(舞踏会)、神秘的な力の助け、手掛かりとなるサンダル(靴)――などの基本的なあらすじが盛り込まれていました。

「シンデレラ物語は中国や中東地域、カリブ海諸島などを含めて世界各国に伝承されています。中国版では仲良しだった魚を継母に食べられてしまいますが、その魚の骨がシンデレラに美しい服と金の靴を授けてくれます。ペルシャのシンデレラを助けた魔法のアイテムは、青い水差しでした。カリブ海ではピンク色の靴がきっかけとなります」

「日本で最初に紹介されたのは1886年(明治19年)に新聞掲載された『新貞羅』です。90年には作家の坪内逍遥がシンデレラを『おしん』の名前で紹介しました。慎み深く謙虚なおしんが、最後に日ごろの心がけがよい報いにつながったと結ばれています」

――シンデレラがグローバル化した背景には、1697年の仏の宮廷詩人・ペローが書いた「サンドリヨン」と、1812年の独グリム兄弟の「灰かぶり姫」の影響が大きかったと指摘しています。

「ペロー版は華やかな舞踏会が題材にされるなど、絶対主義王政時代における欧州の宮廷文化の影響が色濃く表れています。シンデレラを金髪の白人女性に描いたことも大きな特徴です。1950年の米ディズニー映画『シンデレラ』はペロー版を基として世界に発信しました。第2次世界大戦後に最強の大国となった米国の『アメリカンドリーム』を映像化した作品になりました。どんな厳しい境遇でも努力すれば最後は成功できるというメッセージを、同時代の人々に送りました」

「グリム版の『灰かぶり姫』は少しトーンが違います。1812年のドイツはプロシャなどに分かれ、ナポレオン戦争の最中でした。人生に受け身ばかりでは幸福は訪れません。グリム版のシンデレラはか弱く従順でおとなしい娘などではなく、賢明かつ機敏、したたかです。義理の姉らのパワハラを出し抜いて舞踏会に参加しました。王子も恋したシンデレラの正体を突き止めようと、階段にわざとタールを塗っておいて、靴を脱がせるように工夫するなど積極的です。グリム版を意識したのが、アマゾンプライムで配信されている最新のシンデレラ像でしょう。エスニック系でキャリアのシンデレラが初めて誕生しました。現代社会のダイバーシティーを象徴するようなヒロインが登場しました」

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明確な意志もシンデレラの教え