
種類が多く、商品選びに時に迷ってしまうのがワイン。だからだろう、店頭で長時間、ボトルとにらめっこする人を見かけるのも珍しくない。そんな時、便利なのがボトルに付いたQRコード。スマートフォンをかざせば、商品の詳しい情報が即、得られる。QRコード付きのワインは、まだ数は少ないが、今後増えていく気配だ。デジタル社会の進展で、ワインの楽しみ方が一段と広がりそうだ。
10月1日、シャンパン大手ルイ・ロデレールが、新商品「コレクション 242」を日本で発売した。生産を終了したロングセラー商品「ブリュット・プルミエ」の後釜という位置づけで、同社のラインアップの中では比較的、低価格の商品。だが、ブリュット・プルミエと比べると、凝縮感や複雑味がはるかに増しており、格上のヴィンテージ・シャンパンを彷彿(ほうふつ)とさせる味わいだ。
そのコレクション 242のもう1つの売りが、ルイ・ロデレールにとっては初めての試みというQRコードだ。ボトルの裏側ラベルの右下に印刷されたQRコードにスマートフォンをかざすと、瞬時にルイ・ロデレールの商品サイトに飛び、コレクション 242に関する詳しい情報が英語で出てくる。

例えば、画面を少しだけスクロールすると、「Dosage 8g/l」という情報が現れる。ドサージュ(糖分添加)の量が1リットルあたり8グラムという意味だ。多少ワインの知識がある人なら、このワインはある程度辛口だということがわかる。ドサージュの量は通常、ラベルには表記されない。代わりに、辛口だとラベルに「Brut(ブリュット)」と表記されることも多いが、実際の糖分添加量にはかなり幅があるため、表記から受けるイメージと実際の味わいが違うこともある。
「リザーブワイン」のブレンド比率に関する情報も出ている。リザーブワインは、ワイナリーの中で何年か寝かせたワインを指す。シャンパンでは、味わいに複雑性を加味するため、発酵を終えた若いワインにリザーブワインを一定量加えてから二次発酵させる場合が多い。コレクション 242は、通常のリザーブワインに加え、珍しい「パーペチュアル・リザーブ」も使っているが、このブレンド比率も出ている。パーペチュアル・リザーブは、生産年の違う複数のリザーブワインを混ぜて熟成させ、その中から毎年、少しずつブレンド用に使っては、減った分だけ新しいワインを継ぎ足したワイン。いわば「秘伝のタレ」だ。