働く女性と生理「タブーにしない」 男性巻き込み解決

ネクイノの石井健一社長
ネクイノの石井健一社長

「生理中の仕事がつらいことを上司に相談できない」。生理痛やPMS(月経前症候群)を我慢しながら働く女性は多い。だが職場に女性が増える中、生産性を上げるうえでも、女性の健康管理は欠かせない。これまで職場内でタブー視されがちだった生理の悩みについて、男性も理解し、職場全体で改善しようとする起業家らが現れている。

女性200人に生理の悩みヒアリングし、アプリ開発

「会社が女性特有の悩みを健康管理の一環としてとらえる未来をつくりたい」。そう意気込むのはネクイノ(大阪市)社長の石井健一さんだ。同社は2018年から婦人科系のオンライン診療アプリ「スマルナ」を運営。男性も女性の体の悩みについて考える機会づくりに挑んでいる。

石井さんは薬学部を卒業後、製薬会社の医薬情報担当者(MR)として働いた。医療業界を渡り歩くなかで「医療水準が世界に比べて高い日本でも、女性特有の健康課題は医療にアクセスしにくい領域だ」と気づく。産婦人科医約1万人に対し、20~40代の女性は2000万人もいる。困っている人と医療の橋渡しをしたい、と起業に至った。

「スマルナ」は婦人科系の悩みをオンラインで相談できる

「男性だから、女性の抱える生理のつらさや困り事がわからなかった」と石井さん。インターンの女子学生やその友人約200人に生理についてインタビューを繰り返した。「生理は我慢するもの」「物理的にも精神的にも婦人科を受診するハードルは高い」――。集まった声をもとに、婦人科に足を運ばなくても助産師や薬剤師に生理不順やピルについてスマートフォンで相談できるサービスを開発したという。

また働く女性らが「仕事が忙しく、婦人科を受診できない」などの理由で、誰にも相談せずに生理の不調に耐えていることも知った。そこで4月からは法人向けオンライン相談サービスも始めた。スマルナを通して女性従業員が生理などの悩みを相談できる仕組みで、企業が診察やピルの代金を福利厚生で負担する形で原則運用する。

利用するのは女性だが、サービス導入を決める意思決定の場には男性の方が多い。導入を検討する企業には、男性社員も参加できる女性の体についてのセミナーを開いたり、オンライン相談サービスを試験導入して従業員に感想を聞いたりしてもらう。

バイエル薬品(大阪市)らの試算によると、生理痛などで会社を休んだり、労働量や質が低下したりすることによる労働損失は、年間約5千億円近くになるという。石井さんは「企業が女性社員をサポートすることで仕事の生産性は上がる。会社に生理を経営課題として認識してもらい、改善策を提案していきたい」と語る。

「女性だけが理解すればいい」という文化変えたい

エンテールの酒匂ひな子社長

日常的に男性が生理について知るきっかけを作ろう、と動く女性経営者もいる。Entale(エンテール、東京・港)社長の酒匂ひな子さんだ。19年から、パートナーと生理周期やその日の体調を共有するサービス「ペアケア」を手掛けている。対話アプリLINE(ライン)を通して無料で利用できる。