「怖さが自分を成長させる」俳優・歌手 山崎育三郎氏SUITS OF THE YEAR 2022 受賞者インタビュー(5)

「ミュージカル俳優はきちんとした格好をすることが多く、スーツは制作発表の時や役でも着ることが多いです。年齢を重ねて自分の中ではスーツがしっくりくるようになった感覚がありますね。スーツは相手に対しての敬意を表現するものかなと思っています」 撮影:筒井義昭

アート&カルチャー部門を受賞した山崎育三郎さんのファン層は驚くほど幅広い。ミュージカル界のプリンスとして名をはせ、テレビドラマ「下町ロケット」(TBS)や朝ドラ「エール」(NHK)で演技の幅を広げ、バラエティーや司会業ではコミカルな一面を披露。「『エール』を見て大好きになりましたって言ってくださる90代の女性がいれば、ディズニー映画『美女と野獣(吹き替え)』やバラエティーを見て好きになりました、という若い人もいます。ミュージカルファンももちろんいらっしゃいますし、ファンの皆さんはバラバラですが、誰も置いていきたくない、というのが今の僕のテーマです」。あらゆるエンタメに真面目に、ひたむきに取り組む姿勢が、あらゆる世代をとりこにする。




撮影時にも豊かな表現力を存分に発揮してくれた。英国製のフランネル生地で仕立てたクラシックなスーツをまとってのポージングは品位あふれる紳士のたたずまい。無理なく背筋が伸びた立ち姿の美しさが際立つ。「ミュージカルでは衣装が似合う姿勢をたたき込まれます。男性でも女性でも姿勢が良い方がすてきですし、姿勢はその人の自信の表れのような気がします。スーツを着ると、普段以上に自分の一番いい姿勢になるような感覚がありますね」

「役になって歌う」で感じた解放感

元来はおとなしい性格で、家でも学校でも静かで目立たないことを気にかけた母親が、何か自信をつけさせたいとミュージカルに連れて行ってくれたことが、舞台に親しむきっかけになった。やがてあるオーディションにダメもとで応募し、歌を一生懸命に歌ったら主演に選ばれた。「山崎育三郎です」と自己紹介する時は震えてしまうのに、自分自身ではなく「役」の誰かを通して歌を歌う時には緊張せず堂々と声を出せる。「あ、これだ!」。恥ずかしがり屋の少年が、何かになりきることで自分を解放できることに気づいた瞬間だった。

SUITS OF THE YEAR 2022

今回の受賞者は、AGCの平井良典社長、ヤクルトスワローズの村上宗隆選手ら5人。授賞式の模様は、こちらからご覧ください。

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