今秋はニットで勝負 男のちょいカワが母性くすぐるファッションディレクター 清水久美子

リラックスムードの今メンズのニットは百花繚乱(りょうらん)。その中でも女心に響くのは?(すべてトゥモローランド トリコ)

暑い季節も一段落、丸の内の行幸通りのショーウインドーもすっかり秋。男性のポロシャツ、Tシャツ祭りも一段落。ファッションのバリエーションが増え始めるこの時期、メンズのショーウインドーをのぞくのは、界わいの冴(さ)えた女性のひそかな楽しみ。「こんな格好してくれないかな」などと、憧れの彼が着ている姿を妄想して足を止める夕刻は、季節の変わり目の行幸通りの風物詩となっております。




ましてや、この秋はイベントの開催復活など人の集う機会も増えているタイミング。好感度をたたき出す新たな魅力のご披露にはベストタイミングといえるのです。

「確かに。では何を着ようか」とは、週末のデートを控えたダーリンのセリフ。ドライブデートも楽しい季節、何かイケてる策はないのかと思案モードでブティックをのぞきます。そんなダーリンにおすすめなのが、そう、ニット。抜け感やリラックス感を醸すニットはいかにも週末的です。しかも、意外な暑さの日中もまだあるもの。そんな時、ぱっと肩にかけただけでもシーズン先取りの雰囲気が出せて実に便利なアイテムです。

「へえ、じゃあ、ニットいくか」とは素直さが魅力のダーリン。早速にネイビーや黒、ブラウンなどのシンプルなニットを物色します。壮年の男性であれば、シックなおしゃれの方向を狙うのは自然な流れです。

けれど、オンタイム同様の隙なしの印象を目指しては魅力のご披露が一本調子というもの。例えば仕事も優秀、ファッションもダンディーな男性は女性の憧れ。その背中を熱い視線で追ったりもいたします。けれど、そんな男性の時折見せる少年のような屈託のない笑顔にも、別腹の魅力を感じるのです。表情は女性の母性を刺激。「……かわいい」とまた胸をときめかしたりするのです。そんな路線も狙って芸域を広げてみるのも社交シーズンカムバックの週末には悪くない試みです。

「えー?かわいいったって、キャラクターもののニットとか?」とは「うっかり八兵衛」のダーリンのセリフ。ハイモードの世界並みのリスクを背負ったところで、壮年にはうまみなし。むしろ、狙い目はビンテージテイストのデザイン。どこか懐かしいリラックスした雰囲気でエイジングされた男性の大人の余裕を引き立て、女性の目には優しげにかわいく映ります。さらには「若き日から取り入れてきたスタイルなのかな」と青年の頃の面影も連想させ、恋の妄想力を刺激するのがこのビンテージ調のうまみ。その笑顔に成熟と無邪気な印象を同時に与え、女性の「さすが」と「かわいい」を同時に引き出すのです。

ビンテージはトレンドど真ん中でもあるので、ここも群雄割拠のおしゃれ海原。そんな中でも母性をもくすぐり、さらにいぶし銀の魅力もご披露できる栄養たっぷりのニットを厳選してご紹介します。かわいい顔して一枚上手なおしゃれで、週末は恋の大漁旗をはためかせましょう!

仏映画風、スカーフも小粋に トゥモローランド トリコ

華やかな色を身につけるとテンションがアップするもの。デートに華やか色のニットは「きょうは楽しもうね」というポジティブなメッセージ。女性の気分も思わず上がります。色でデートのエスコート感を出すというのもニットならば気軽にトライできるのです。が、ちょっと鮮やかすぎたり、華やかすぎたりする色には抵抗感があるのが大人の男性の見識。壮年の肌を引き立て、かつ気分の上がる色となるとチョイスが難しいものです。

次のページ
懐かしいアイビーのケーブルニット ドルモア