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経営書の棚端の平台最上段に面陳列で展示する(紀伊国屋書店大手町ビル店)

経営書の棚端の平台最上段に面陳列で展示する(紀伊国屋書店大手町ビル店)

ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回は定点観測している紀伊国屋書店大手町ビル店だ。新型コロナウイルスの新規感染者が大きく増え始めた1月半ばから人出は再び減っている。それでも人出が少なそうな時間を狙ってまとめて買っていく人や在宅勤務者向けに配るのかまとめ買いの注文を入れる企業などもあり、なんとか持ちこたえている状況だ。そんな中、書店員が注目するのはアマゾンの仕事の進め方を同社の元幹部が詳細にわかりやすく解説した本だった。

筆者の1人は元「ジェフの影」

その本はコリン・ブライアー、ビル・カー『アマゾンの最強の働き方』(紣川謙監訳、須川綾子訳、ダイヤモンド社)。2人の著者はともに12~15年にわたってアマゾンで活躍した元幹部社員。ブライアー氏は「ジェフの影」と呼ばれる、CEO(最高経営責任者)付きテクニカルアドバイザーとして経営参謀を務めるなど、創業者ジェフ・ベゾス氏の間近で同社のビジネスを支えた。

そんな2人が「アマゾンならではの規範と仕事のプロセスについて、読者が理解し、自分の組織で応用できるように説明」したのが本書だ。2人はアマゾンの経営手法を他の企業に導入する支援を手がける会社を共同で設立しており、「アマゾンウェイ」を語るにはうってつけの伝道師だ。まだ小さな会社から世界的に影響力を持つ巨大企業になる期間に試行錯誤をくり返して生まれた数々の手法は、チームで進める仕事に悩みを抱えているビジネスパーソンには大いに参考になる内容だ。

索引まで含めると500ページと分厚い本書は2部構成になっている。前半は「アマゾンをアマゾンたらしめている決定的な規範と経営プロセス」を説明する。土台、採用、組織、コミュニケーション、ワーキング・バックワーズ、評価指標の6つがその構成要素で、それぞれに1章を充て、そうしたものが生まれた経緯を振り返りながら、手法の詳細を明らかにする。

聞き慣れないワーキング・バックワーズとは、「逆向きに取り組む」を意味する言葉で、顧客体験から遡る形で開発に取り組むこと。本書の副題にもなっている。「まずあるべき顧客体験を定義し、それを実現するためにいま何をすべきかと、さかのぼっていくかたちで考える。どんなプロダクトをつくればよいか、関係するチームの思考が明確になるまで、この作業をくり返すのだ」という。そのためのツールとして、普通は最後の最後でつくられるプレスリリースとよくある質問(FAQ)を開発に着手する前につくるという手法が使われる。

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