またリスキリングするの? 50代には50代の流儀があるフォー・ノーツ株式会社 代表取締役社長 西尾 太

写真はイメージ(PIXTA)

50代をどのように生きるのか、どのように働くのか。50代の方はもちろん、これから50代を迎える世代の方々にとっても、大きな関心ごとになっていますよね。

私は30年近く企業人事に携わっており、現在は人事コンサルタントとして、多くの企業の人事制度構築やその運用のお手伝いをしています。

各社の「人事評価会議」にも出席させていただいていますが、その評価会議では50代社員の評価や処遇に関して議論されることも多々あり、そのような経験から、この連載では50代のリスキリングについて考えていきたいと思います。

今までだってちゃんとやってきた「リスキリング」

50代の皆さん。「リスキリング」とお聞きになって、どのように思われますか?

「これまで30年、必死になって働いてきて、やっとここまでたどり着いたのに、また新たに学べって?もういいんじゃないか」などと思っていらっしゃいませんか?

そう思われることもごもっともだと思います。私自身も50代ですのでよくわかります。

しかし思い返せば、実は私たち50代は、これまでリスキリングの連続だったんですよね。

私が社会人になった時、1988年ですが、パソコンというものはオフィスにありませんでした。「コンピューター」と言われるものが、課に1台でした。稟議(りんぎ)書も申請書も手書きでした。

コピーも高価で、社内文書については青焼き(ジアゾ式複写技法)を使えと言われました。

ポケベルにテレホンカードと緑色の公衆電話……。そういう時代でしたよね。

そこから、私たちのリスキリングが始まります。パソコンが1人1台になりました。電子メールなるものを使うようになりました。エクセルもパワーポイントも覚えました。

一昔前は「パソコンを使えないおじさん」や「パソコンを指一本で打ち込むおじさん」という話もありましたが、今や私たちだってブラインドタッチができるようになりました。

ポケベルはガラケーになり、そしてスマホになりました。電子メールに慣れたと思ったら、SNSやチャットツールが台頭してきました。それもなんとか使っていますよね。ZOOMだってへっちゃらです。

リスキリングは、主にはDX(デジタルトランスフォーメーション)を想定しているそうですが、私たち50代は、これまで30年間のDX化に対してリスキリングしてきたわけですよね。(これまでのことはDXと言わないんでしょうか)

ですから、今になって叫ばれている「リスキリング」についても、「あ、またなんか必要になるんだね」ぐらいで考えてみるのもよいのではないでしょうか。

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