変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

会員登録をすると、編集者が厳選した記事やセミナー案内などをメルマガでお届けしますNIKKEIリスキリング会員登録最新情報をチェック

2008年に新しくなった成蹊小の校舎。デザインしたのは卒業生でもある建築家の坂茂氏だ

2008年に新しくなった成蹊小の校舎。デザインしたのは卒業生でもある建築家の坂茂氏だ

安倍晋三元首相ら多くの著名人を輩出した名門私立小、成蹊小学校は武蔵野の面影を色濃く残す東京・吉祥寺にある。成蹊学園の一翼でキャンパスは中学や高校、大学と一緒だ。グローバル教育が叫ばれる昨今、成蹊小は1960年代半ばからいち早く「国際特別学級」(当時)を設置し、帰国子女を積極的に受け入れ、海外での体験学習プログラムも用意。国際化を進めると同時に、授業での集中力を高める「凝念」を取り入れるなど心の教育面でも独自色を発揮してきた。成蹊中学・高校の校長から今春、小学校に転身した跡部清校長も成蹊の国際性や多様性の恩恵にあずかった1人である。

ケヤキ並木が連なる成蹊学園の正門から入って右側奥に位置するのが成蹊小だ。校舎へと近づくにつれて、児童たちの元気な声が響いてきた。

成蹊小学校の跡部清校長。校長室には「桃李成蹊」の書が掲げられている

成蹊小学校の跡部清校長。校長室には「桃李成蹊」の書が掲げられている

「約30年ぶりに自分の夢がかないました」。応接室で迎えてくれた跡部校長はこれまで成蹊中学・高校の国語教諭として長年教壇に立ち、教頭職8年、校長職6年のキャリアを持つ。だが、もともとは小学校教諭を志望していた。

跡部校長は成蹊中・高のOG。その後、東京学芸大学を卒業したのは、成蹊大に当時も今も教育学部がないからだった。就職活動時、「まずは成蹊中・高の非常勤講師として働いてみないか」と母校の関係者から誘われた。それが縁で働き始め、その後、正式な教諭として採用された。

成蹊小や成蹊中・高の歴代校長の中でも両方の経験者は珍しい。「中学・高校の6年間は生徒が自分の価値とは何かを模索する時期。一方、その前段の小学校の6年間は、模索できるようになるために様々な体験を重ね、自分自身をしっかり耕しておく必要がある」と跡部校長は指摘する。小学校は初等教育、中学、高校は中等教育、大学は高等教育の機関と一般に位置づけられている。中・高の校長として成蹊小出身の子どもたちを受け入れ、小学校卒業以降の成長ぶりを目の当たりにしてきた。いわば中等教育の出口戦略をよく知る立場にいたからこそ、初等教育段階で子どもたちにどんな種まきをしておくべきなのか、成蹊小の中で他の誰よりもわかっている。そこが跡部校長の何よりの強みだ。

新着記事

Follow Us
日経転職版日経ビジネススクールOFFICE PASSexcedo日経TEST

会員登録をすると、編集者が厳選した記事やセミナー案内などをメルマガでお届けしますNIKKEIリスキリング会員登録最新情報をチェック