
コロナ下で“3密”を避けられる趣味としてブームとなったアウトドア。その人気は、現在も続いている。キャンプや登山、ランニングなどを楽しむ「アウトドア人口」が年々増えていく中、その着こなしも多様化している。今からアウトドアを始めるならどのような一着を手に入れればいいのだろうか。また、機能性とお洒落(しゃれ)を両立する着こなしのコツはあるのだろうか。東京・世田谷にあるFridge(フリッジ)の店主、熊坂卓さんに聞いた。
――フリッジではどんな商品を取り扱っていますか?
「僕が昔から好きなアウトドアウエアのほかに、いいと思った服はモードからストリートまでジャンルを問わず仕入れていますね。食品やインテリア用品なども扱っているので、“なんでも屋”だと思ってもらえれば(笑)」
価格かファッション性か 多様化するアウトドアウエア
――近年のアウトドアシーンでのファッションの傾向は?
「さまざまなタイプに分化してきていると思います。中でもよく見かけるのは、ワークマンのように廉価で高機能な服を着る方ですね。たき火の火の粉を気にしながら、高価なダウンジャケットを着る、という行為にリスクを感じるのでしょう」
「その半面、お洒落をしてアウトドアを楽しみたい、という層も根強いです。極端な例を挙げると、ライダースジャケットを羽織ってキャンプするような方もいますから。また、アウトドアウエアがトレンドになったことで、街中でも登山にいくような服を着る人が増えているのも面白い現象ですね」
――アウトドアウエアの品ぞろえの考え方は?
「ファッション性を第一に考えていますね。天候や場所を問わずに着られるような機能性や、快適に動き回れるような着心地のよさはもちろん備えていますが、それはあくまで副産物的なものだと捉えています。かっこいいと思って買った服がたまたま高機能で、それを着て山を登ってみたら楽しかった、という流れでアウトドアに興味を持ってもらえたらうれしいですね。セレクトショップがアウトドアウエアを提案する面白さはそういうところですから」
――特におすすめのブランドがありますか?
「スウェーデンで1975年から続くKlattermusen(クレッタルムーセン)です。人間工学にもとづいた合理的な構造と高い機能性、それと創設時から変わらない前衛的なデザインが特徴のブランドですね。アウトドアウエアはもちろん、モードブランドなどのデザイン性の高い服とも相性がいいんです」

――アウトドアウエアの中で、特に注目したい機能は?
「防水性に目がいきがちですが、雨を防ぐだけならビニールの雨がっぱでもできます。その上で大事なのが、水蒸気を外に逃す透湿性ですね。水を通さないのは最低条件で、湿気がこもったり、汗をかいても蒸れたりしないことが快適に過ごすために大切ですから」

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