――具体的には?
「取り入れやすさでいえば、ロイヤルエアフォース(英空軍)の式典用『ドレストラウザー』ですね。上品なシルエットで、ミリタリーウエアにありがちな武骨さが薄いです。幅広い体形の人に対応できるようサイズが豊富なのも、軍用の服ならではです」
――ミリタリーウエアにも色々あるのですね。他におすすめのアイテムはありますか?
「バブアーのオイルドジャケットですね。新品もセレクトショップなどで手に入りますが、古着とはオイルの成分や生地、シルエットが異なります。独特の“渋い”たたずまいは、古着ならではだと思いますね。特におすすめのモデルは『ボーダー』です。定番モデルの中で唯一ラグランスリーブではなく、セットインスリーブ(肩から脇下にかけて生地が切り替わった、最も一般的な袖型)の形です。スーツとも相性が良い形なので、ビジネスシーンで着用される方もいますよ」
古着×新品のコーデ 英軍パンツを軸に
――今回は古着を使ったコーディネートを3組用意してもらいました。まずはスラックスとコートを合わせた着こなしです。
「先ほどおすすめした、ロイヤルエアフォースのトラウザーを軸にしたコーディネートです。このアイテムが持つエレガントな雰囲気と相性がいい、新品のロングコートを取り入れてみました。コートとパンツの色味がネイビーで統一されているのもポイントですね」

――インナーはスエットですね。
「ドレッシーなアイテムが中心なので、カジュアルな印象のスエットを選びました。スエットを着用する際は、リブの部分を内側に折り返すと腰回りがもたつきにくいですよ」
――パンツの丈は短めですね。こだわったポイントを教えてください。
「実は15年ほどスケートボードをやっていまして、裾丈が短いと動きやすいので好きなんです。その点、このトラウザーはサイズ展開が豊富で、裾上げをしなくてもいい一本が見つかるのがうれしいですね。着丈の長いコートを合わせているので、足元でバランスを取るという狙いもあります」


――シューズは真っ白です。
「足元は春を意識した白がいいと思い、ドクターマーチンのデッドストックの一足を選びました。1990年代に作られたもので、当時のモデルならではの細身のシルエットが魅力です。また、アウターとボトムス、シューズを英国のアイテムでまとめているのもさりげないこだわりです」
全身古着のワントーンコーデ “ごちゃまぜ”が肝
――2組目は白のアイテムで統一したコーディネートです。
「全身をユーロビンテージのアイテムでそろえてみました。アウターはスウェーデン軍の40年代のスノーカモパーカー(雪原用迷彩の白いアウター)、インナーはワーク用のカットソー、パンツは欧州製のデニムパンツを合わせています。用途や年代が異なるものを選ぶのがポイントですね。例えば、全身をミリタリーウエアでまとめると“コスプレ”になってしまいますから。その上で、素材感やシルエット、全体の色合いを統一すると、違和感のないコーディネートにまとまりますよ」

――全体のシルエットで気を付けた点は?
「アウターがゆったりしているので、細身のパンツやカットソーを合わせてバランスをとっています。細身のアイテムにしたのには、白が膨張色という理由もあります」

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