ひらめきブックレビュー

子どもに潜む危機 「スポーツ離れ」どう食い止める? 『スポーツをしない子どもたち』

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

北京の冬季五輪・パラリンピック大会は開催の運びだが、新型コロナウイルスの感染拡大以降、大小多くのスポーツ大会が中止された。地域のスポーツチームや学校の部活動に所属し、大会を目標にしてきた子どもたちは、モチベーションの維持に苦労している。

子どもたちはスポーツの経験を通じ、勝つ喜び、チームの絆など多くのことを学ぶ。適度な運動は、健全な成長にも欠かせない。しかし、実はコロナ禍以前から、公園でのボール遊びの禁止や、ゲーム機の普及といった社会環境の変化から、子どもたちは、スポーツに親しむ機会を失ってきたという。

この状況に危機感を持ち、執筆されたのが本書『スポーツをしない子どもたち』だ。運動しない子どもが増加する現状をリポートし、子どもたちの体力低下の背景を探ると同時に、解決へのヒントを提示している。著者の田中充氏は産経新聞運動部記者。森田景史氏は産経新聞論説委員兼運動部記者。

外遊びは「疲れる」と答える子ども

全国の小学5年と中学2年を対象に毎年行われる、通称「全国体力テスト」。2019年度、小中学生の男女ともに成績が低下するという「衝撃的」な結果が出たという。スポーツ庁は「授業以外の運動時間の減少」、テレビやゲーム機などを視聴する「スクリーンタイムの増加」などを指摘。これに、コロナ禍が拍車をかけているのが現状といえる。

子どもたちの「スポーツ離れ」の原因はほかにもあるようだ。本書によれば、中学受験などの勉強のため、外で遊ぶ時間がない。ゲーム機のほうが手軽で、外遊びは「疲れる」。かつては人気だった少年野球は、送迎やお茶当番など保護者の負担が大きく、敬遠されている。中学生の運動部活動の時間も減少傾向にあるという。どうやら、子どもたちの外遊びやスポーツの時間の確保は想像以上に難しいようだ。

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。