シャトレーゼ成功の極意は「三喜経営」 会長秘訣語る『シャトレーゼは、なぜ「おいしくて安い」のか』

総合菓子メーカーのシャトレーゼ(甲府市)の糖質オフ製品がおいしいとメディアやネットで話題になっている。豊富な品ぞろえと手ごろな価格でその名を知られる同社は、戦後の貧しい時代に4坪の焼き菓子屋からスタートし、一代で国内600店舗、海外110店舗に拡大した。

本書『シャトレーゼは、なぜ「おいしくて安い」のか』は、同社会長の齊藤寛氏が、こだわりの味と価格の秘密を解き明かしたもの。創業時のエピソードやヒット商品の誕生秘話、社是として掲げる「三喜経営」などを語っている。

小豆の洗浄にも天然水

「三喜経営」とは、「客」「取引先」「社員」に喜ばれる経営のあり方を指す。その通り、齊藤氏は人を喜ばせることが大好きだ。例えば、同社はフランチャイズ方式で店舗展開しているにもかかわらず、オーナーからロイヤルティーを一切取らない。なぜなら、オーナーは「のれん分け」したパートナー。共に成長したいとの考えからだ。そんな「三喜経営」の背景にあるのは、山梨でワイナリーを営む両親を見て学んだ「利他の心」である。

とくに「お客様目線」の実践は目を見張る。創業当時も、甘味といえばサッカリンやズルチンなどの人工甘味料が主流である中、人々が求めているのは「本物の味」だと考え、上白糖と北海道の小豆を使用した。店は瞬く間に大人気となり、朝から晩まで行列が続いたと回顧する。

味へのこだわりは、今も変わらない。素材の良しあしは、水によっても変わるという。だから製造工場を、「日本の名水百選」に選ばれた山梨県北杜市白州町に建てた。そこでは調理の全工程で白州の水が使われている。あんこを作るのであれば、小豆を洗う段階から天然水を使うという徹底ぶりだ。

次のページ
多品種ゆえのお手ごろ価格
ビジネス書などの書評を紹介