
食材が安いときにまとめ買いし、すぐ使わない分を冷凍庫で保存する。日々の食卓の頼もしい味方だ。凍らせる前に下味をつけておくと、さらに手早く調理できる。試してみよう。
新型コロナウイルス禍をきっかけに、野菜や肉、魚といった食材をまとめ買いして冷凍するのが日常になった人は多いようだ。食品ロス削減にもつながると関心は高い。しかし冷凍しておいた肉や魚を解凍して調理すると、うま味や水分が抜けてしまうという悩みも聞かれる。
原因としてひとつ考えられるのは冷凍庫内の乾燥だ。日本冷凍食品協会(東京・中央)広報担当で消費生活コンサルタントの三浦佳子さんは「冷凍庫では温度変化により、食品中の水分が霜となって内部に付着する。結果として、庫内はとても乾燥した状態にある」と説明する。
かなりの低温で急速に凍らせた冷凍食品に比べ、家庭用の冷凍庫では凍るまでに時間がかかる。食材に含まれる水分が氷の結晶となって周囲の細胞組織を壊し、味や食感が損なわれやすいのだという。
冷凍食品に詳しく「いますぐ食べたい!冷凍食品の本」などの著書がある西川剛史さんは「生鮮食品は新鮮なほどおいしく栄養価も高いので、鮮度のよい状態で冷凍するのが大切だ。余った分を冷凍するのではなく、買った日のうちにあらかじめ使わない分を冷凍するとよい」と語る。
食材の状態を少しでも長く保つには冷凍庫に付いている急速冷凍機能を使ったり、食材をトレーから出して食品用ラップで包んだりする方法がある。西川さんがすすめるのは冷凍用のジッパー付き保存袋(フリーザーバッグ)に食材とともに調味料や油を入れて漬け込むやり方だ。

「調味料がバリアーのような役割をしてくれて、食材を乾燥から防いでくれる。みりんやハチミツなどの糖分には水分を保つ作用があるほか、塩はうま味を引き出してくれる」。西川さんは「下味冷凍」と呼んでいる。