画面越しでも震え…あがり症 治療必要な社交不安症も

写真はイメージ=PIXTA

人前に立つと緊張してしまうあがり症。リモートワークで増えた画面越しの打ち合わせにも戸惑う人がいる。仕事や生活に支障があれば社交不安症と診断され、治療が必要かもしれない。専門家に対処法を聞いた。

大勢の人の前で話すときはいつも緊張して声がふるえ、冷や汗が出る。顔が真っ赤になる。職場の雑談に気軽に加われず、周囲からは内気な人だと思われている……。あがり症で悩む人は少なくない。

千葉大学大学院医学研究院の清水栄司教授(認知行動生理学)は「対人関係の不安は誰にでもあるが、あがり症の人は『人に笑われることをしているのでは』『失礼な人と思われているかも』と自分の状態ばかりに注意が向く」と解説する。この自意識が不安をより強くし、ふるえや冷や汗などの症状が増す悪循環をもたらす。リモートワークでは直接対面しないので楽になる人もいれば、逆に緊張する人もいるという。

あがり症はスポーツでもみられる。例えばゴルフでは練習でできるのに、本番は緊張してミスを連発してしまう。これも過剰な自意識が関係している。広島大学大学院人間社会科学研究科の関矢寛史教授(スポーツ心理学)は「練習の繰り返しにより、基本動作では意識しなくてもできる自動化が起こる。ただ『より正確に』を意識しすぎると、自動化された動作がスムーズにできない」と説明する。

こうしたあがり症の対策としてまず挙げられるのは自分に向かいがちな意識を自分以外に向ける「注意トレーニング」だ。清水教授は「緊張しそうなときは自分が写真家になったような気持ちになり、周囲の人を観察してみる。そうすると自分へと向かう意識が軽くなる」と助言する。

発想転換も大事だという。「そもそも他人は自分をそれほど見てはいない」「人前でうまく話せなくても、日々の努力を見てくれている人がいる」「ミスショットは誰でもやっていることだ」などと考えるようにする。不安が和らぐことがある。

関矢教授は「対策として体からアプローチする方法もある」と指摘する。例えば緊張すると呼吸が浅くなるため、緊張したときに深く呼吸するのを心がける。日ごろから呼吸法を学んでおくとよい。緊張で体がこわばってしまうことも多い。筋肉をほぐし、リラックスできるストレッチを見つけておく手もある。

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