
年を重ねると、過去のしがらみやもったいない精神から抱え込むモノが増えてくる。親族から受け継いだ遺品など捨てにくいという理由だけで置いておくと、部屋の機能性が低下する。日常生活にも支障が出てくる。
忙しくて向き合う時間がない場合、段ボール箱に詰めて外部収納サービスに預けるなど、視界の外に遠ざけてみる手がある。冷静になって思い出の品との関係を客観的に考える時間を取れる。
思い出の品の整理は1人でやらないのも大事だ。お気に入りだった本につい読みふけったり、おもちゃで遊び出したりしてしまう。2人一組になって、協力する側が「これはいつ使うのか」「残す意味があるのか」などと質問。片付けたい側はそれに答えながら「残す」「処分する」と仕分けしていく。
思い出の定義は人それぞれなので、協力側が口出しするのは避け、淡々と分類作業を進めよう。判断時間は1品当たり30秒が目安。1分以上悩むモノは「保留」にしておこう。友人と電話やチャットでやりとりしながらでもよい。仕分けした結果は写真に撮影して残しておこう。
捨てなくてもホコリをかぶったままにしていては思い出も色あせる。定期的に取り出し、今の自分に必要か向き合ってこそ、持ち物を大切にすることになると思う。
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愛着度・手に取る回数 基準に

モノを整理するときには「使用頻度」で分類するのが鉄則だ。ただ思い出の品や趣味のコレクションとなると、どれくらい使うかという観点だけでは判断しにくい。別の軸が必要になる。例えば愛着度や実際手に取る度合いの高低で考えるのはどうだろう。
ポストカードはよく手に取って旅先の風景を思い出す。部数限定だからと昔買った写真集は意外と開かない。ペンライトへの愛着はそれほどないが、ライブのたびについ引っぱり出してしまう。2つの軸で分類すると、残すか処分かの判断にも役立ちそうだ。
(整理収納アドバイザー 米田 まりな)
[NIKKEI プラス1 2022年7月23日付]