「このまま、ずっと餅を作り続けるのか」。大学時代に微生物を研究していた鈴木社長は、卒業後に家業を継いだものの研究の魅力が忘れらなかった。97年に地ビール製造販売を始め、世界大会に出せるビールを造ることを決意した。思うような品質が得られず、造ったビールを何度も捨てた。売り上げを持ち逃げされる災難にも遭った。

海外でも評価される伊勢角屋麦酒(三重県伊勢市)

試行錯誤を重ね、17年と19年には世界3大ビールコンテストの一つとされる「インターナショナル・ブルーイング・アワード」で同社の「ペールエール」が金賞を獲得した。

ビール工場に併設する販売所は伊勢市の海岸部にある。このほか伊勢神宮の内宮前のおはらい町など同市内の観光客が訪れやすい場所にも販売店がある。高い味わいが全国的な人気を集めており、缶ビールの自社生産も9月から始めた。

最近はスペインにも輸出した。「これまで造ってきたビールのテイストは英米の流れを反映したもの。何とか日本発で世界に発信できる味を生み出したい」。鈴木社長は常に新しいビール造りへ挑戦を続ける。

(津支局長 小山隆司)

[日本経済新聞電子版 2021年12月23日付]