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セイコーグループ会長 服部真二氏

セイコーグループ会長 服部真二氏

時計大手セイコーグループの創業家出身でグループを率いる服部真二会長。「常に時代の一歩先を行くことを大切にしている」と語る。かつて世界の先端を走った日本の時計メーカーがスイスなどの海外ブランドから後れを取って久しい。会社を時代の先端へ導くには、時機を読みつつ強い決断力で部下を引っ張る力が必要だと説く。

――リーダーに必要な要素を教えてください。

「変化を恐れないこと、そして変革をやり抜く力によって自分が信じたビジョンを貫き通す覚悟、この2つだけです。スタートアップも含めて、創業者はみんなこの素質を持っています」

「部下の意見を引き上げることも大事です。セイコーの社員は昔から上に物申すことが苦手だと私は思っています。上にモノを言いやすい文化をつくらないといけない。今年、新年の挨拶で席次を無くすぞと言いました。オフィスも含め、役職員を逆三角形のピラミッドのように配置する取り組みを進めたいと考えています」

「社員が主役ですから。時にはトップダウンも必要ですが、リーダーたるもの、ビジョンの実現には社員と一緒に走らなきゃいけません」

――そのような意識を持つきっかけは何でしたか。

「『セイコー アストロン』という、全地球測位システム(GPS)機能を世界で初めて搭載した腕時計を開発したときです。セイコーウオッチ社長のころ、GPSを時計につけるというアイデアを知ったとき、直感的にこれしかないなと思いました。太平洋、アフリカ、南米、どこにいようがボタン1つ押すだけで時刻が現地時間に変わる時計、こんなものはどこにもない」

「私がこれを売ろうと社内で言ったら、社員からは『500個しか売れませんよ』と言われました。でも私は2万個は必ず売れると思った」

――それだけ売れると思ったのはどうしてでしょうか。

「もしこの時計がグローバルスタンダードになったら、1969年の(セイコーが世界で初めて実用化した)クオーツ時計の開発以来、第2の革命だと思いました。うまくやれば絶対、次のスタンダードになると思いました。ボタンを押すと針がくるくる回るんですよ。衛星から電波を受信して時刻を合わせるわけです。あたかも人間が宇宙と交信しているような遊び心もありました」

「しかし、製造部門では『GPS機能と時計らしいデザインを両立できる』と考える人はほぼいませんでした。セイコーは伝統的に製造と販売を別会社で担ってきました。開発当時は製販一体運営を目指して両部門でミーティングもしていたのですが、うまく意思疎通ができていませんでした」

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