2021/12/26

栃木県を代表するワイナリーであるココ・ファームは1984年にワイン造りを開始。園生たちが育てたり契約栽培農家から購入したりした様々なブドウを原料に使う。

夕日を浴びるブドウ畑。マスカット・ベーリーAやプティ・マンサンなどの木がある(足利市)

ココ・ファームでは猛暑などの気候変動に負けないブドウを探すため、世界各地のワイン産地を訪問。池上知恵子専務らが仏南西部のジュランソン地方で出会ったのがこのプティ・マンサンだ。

「ブドウ畑にはタンポポや野蒜(のびる)があり、足利の畑と同じだった。日本の田舎と同じにおいがした」と池上専務は振り返る。「プティ・マンサンを日本に持ってきたら絶対、無理なく育つだろうと思った」

日本で植物検疫を受け、足利で栽培がスタートしたプティ・マンサンがココ・ファームでワインになったのは10年ほど前。今では木はワイナリー横の畑などのほか、同市の隣の佐野市でも育っている。足利の19年産ブドウでは約3500本のワインができた。雹(ひょう)の被害を受けることもあり、生産本数は年によって違う。

ココ・ファームでは栃木県産のプティ・マンサンを使うワイン㊧のほか、プティ・マンサンのスパークリング㊥なども造る

「プティ・マンサンを植えたのは大成功ではなかったでしょうか」と池上専務に聞いた。専務は自然を侮ることはできないという意味合いの話をした上で「とりあえず、思春期は乗り越えた」と人間になぞらえた。

ワインの味はブドウの樹齢によって変わるという。では10年後、20年後にプティ・マンサンはどんなワインになるのだろうか。そんな想像を巡らすことができるのもワインの楽しみの一つである。

(宇都宮支局長 伊藤健史)

[日本経済新聞電子版 2021年12月16日付]